女性がバイアグラを飲んだという話を聞いたことがあるかもしれませんが、海外ジェネリックで女性用バイアグラが販売されています。
しかしその一方で、バイアグラを製造するメーカーであるファイザー(現:ヴィアトリス)は大規模な試験をいくつか行ったものの、女性への効果はなかったとして試験を中止しています。
そこで、バイアグラを女性が服用しても良いものなのか、2023年現在の最新情報を調査した結果を、このページで詳しくご報告していきます。
なお、バイアグラについての詳細な情報は以下をご覧ください。
バイアグラは女性に効果がある?
結論から言うとバイアグラは女性への効果が認められていません。
女性のFSD(女性性機能障害)は男性のEDよりもはるかに複雑とされ、心身のトラブルだけでなく、パーソナルな部分なども絡んできます。
そのため、有効成分シルデナフィルによる血管拡張作用だけで、性的な感度や興奮が高まったり、オーガズムに達しやすくなるといった効果を得るのは難しいと考えられています。
一方で、海外製ジェネリックの中には「女性用バイアグラ」として販売されている製品がいくつか見受けられます。
後発薬大国インドで製造されており、その中にはシアリスの有効成分を用いて女性用として販売している製品もあります。
いずれも女性に対しての臨床データなどは公表されておらず、先発薬メーカーが女性用として販売を許可したという報告もありません。
非正規品と言わざるを得ないため、購入・服用はせず、次に解説する女性がバイアグラを服用した場合のリスクなどについても参考にしてください。
女性がバイアグラを服用したらどうなる?
女性はバイアグラを服用できないのが前提の話となりますが、バイアグラ(シルデナフィル)を服用することで全身の血流は良くなります。
その結果、膣周囲の神経が敏感になり、性的な感度や興奮が高まったり、濡れやすくなるといった可能性もあると考えてしまうかもしれません。
しかし、上記のような効果を示す医学的根拠はないため憶測の域を出ず、思い込みによるプラセボ効果も否定できないので治療薬としては使用するのは難しいと言えます。
また、バイアグラには副作用もあります。
- ほてりや潮紅
- 頭痛
- めまい
- 動悸
- 悪心
【重篤な副作用】
- 低血圧
- 心筋梗塞
- NAION(視力低下や視力喪失)
- 網膜出血
- 網膜静脈閉塞
- 過敏性反応(薬剤アレルギー)
注意点として、上記の副作用は男性が服用した場合に確認されている症状です。
女性の副作用データは存在せず、必ず男性と同じ症状が出るとは限りません。
また、男性よりも肝臓の小さい女性は、体内での成分濃度が高くなってしまい同じ副作用であっても増悪する可能性も考えられます。
女性のバイアグラ服用は効果が得られないだけでなく、安全性についても確認されていません。
さらに、女性の服用は適正な使用には当たらないため、万が一日常生活に支障をきたすような副作用が起きても「医薬品副作用被害救済制度」が適用から外れてしまいます。
何が起こっても自己責任となるので、女性がバイアグラを服用するのはお控えください。
女性はバイアグラを購入できない
バイアグラはEDの症状が認められる男性のみが購入できる処方箋医薬品です。
そのため、購入は「治療が必要な本人のみ」に限られ、女性がクリニックなどの医療機関に相談しても処方は断られます。
また、男性にバイアグラの購入をお願いするのもお控えください。
医師から処方を受けた薬を他人に譲渡する行為は薬機法違反になります。
利益を得るための営利目的と判断されてしまうと「無許可販売」にあたり罰則の対象になります。
※3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらを併科
仮に罰金で済んだとしても前科がつくので、社会的信用を失うなど日常生活に影響が出ます。
そのため、男性も医師から処方されたバイアグラを安易に譲渡しないようご注意ください。
バイアグラについて
バイアグラとは、世界初のED治療薬です。
1998年にアメリカで登場し、その翌年には日本でも承認され、ED治療の環境が一変したことで一時は社会現象にもなるほど注目を集めた薬です。
バイアグラの概要 | |
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有効成分 | シルデナフィルクエン酸塩 |
効果効能 | 勃起補助・維持 |
製造販売 | ヴィアトリス製薬(旧:ファイザー) |
性行為前に服用することで陰茎に血流が集まりやすくなり、弱まった血流を改善することで勃起をサポートし、行為中も硬さを維持することが可能になります。
なお、バイアグラは性行為時にのみ効果を発揮します。
性的興奮や刺激のない普段の生活中に強制的に勃起させる薬ではなく、急にムラムラしたり、性欲が増したりする効果もないので使用目的を間違えないようにしてください。
女性のためにバイアグラを購入するのは禁止
バイアグラは男性専用の薬となり、処方箋医薬品にあたることから処方を受けた本人以外の使用は認められていません。
男性が女性のために購入することもできず、譲渡は法律で禁止されている行為となるのでお控えください。
ちなみに、男性ご自身が服用を希望されるのであれば、オンライン診療が便利です。
予約から薬の処方までをオンライン上で完結させられ、郵送によって自宅などでバイアグラの受け取りが可能となっています。
↓
電話問診
↓
郵送処方
直接クリニックに足を運んでいただく必要もなく、問診も5〜10分程度で簡単に済ませられます。
通院コストを抑えることにもつながるので、バイアグラの使用予定がある男性はお気軽にご予約ください。
女性用バイアグラが販売されているのはなぜ?
女性用バイアグラは医療機関では取り扱われておらず、一部の海外通販サイトのみで販売が展開されています。
海外製女性用バイアグラ | |
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製品名 | ラブグラ(女性用バイアグラ) |
有効成分 | シルデナフィルクエン酸塩 |
用量 | 100mg |
製造メーカー | アジャンタファーマ(インド) |
インドは国際的にも類のない、特殊な特許法が施行されています。
国際特許が切れる前にジェネリックを製造販売できてしまい、その中には上記のラブグラのように医学的根拠のない効果を謳っている製品も存在します。
また、ラブグラの用量は100mgとなっており、これは日本での治療用量の上限とされている50mgの倍にあたります。
女性用バイアグラと謳ってはいるものの中身はバイアグラと変わらず、用量も上限を超えていることから購入はおすすめできません。
なお、海外通販では他にも女性の性機能障害を改善する薬として、次のような薬の販売も見受けられます。
- フィメルフィル(女性用シアリス)
- フリバン
ちなみに、フリバンの先発薬にあたる「addyi」は2015年にアメリカで承認されたばかりの薬です。
本来存在するはずのないジェネリックになるので購入はお控えください。
その他の性的欲求低下障害治療薬
世界では、女性用バイアグラに位置付けられる治療薬の開発が進んでいます。
アメリカでは先駆けて、女性性機能障害の1つであるHSDD(性的欲求低下障害)の治療薬の処方がスタートしています。
■addyi(アディ)
有効成分:フリバンセリン
剤形:錠剤
効果効能:閉経前女性のHSDD(性的欲求低下障害)の改善・性欲の増進
副作用:めまい、傾眠、吐き気、疲労、不眠症、口の渇き など
用法用量:1日1回就寝前に100mgを服用
■vyleesi(ヴィリーシ)
有効成分:ブレメラノチド
剤形:注射剤
効果効能:閉経前女性のHSDD(性的欲求低下障害)の改善・性欲の増進
副作用:注射部位の反応、頭痛、嘔吐、咳、疲労、ほてり など
用法用量:性行為の45分前に自己注射(腹部または太もも)
どちらの治療薬も基本はアメリカのみでの処方となっておりますが、国内でも婦人科を併設する自由診療系のクリニックでは「フリバンセリン」の処方が行われている場合があります。
海外製医薬品の安全性について
海外製医薬品は、すべてが危険というわけではありません。
次の2つの条件が揃っているクリニックであれば、海外製医薬品でも比較的安全に使用することができます。
- エビデンス(医学的根拠)がある薬
- 医師が正規の手続きを経て輸入・処方
先ほどご紹介したフリバンセリンのように、症状によってはQOLの向上に役立てることができる場合もあります。
ただし、海外通販(個人輸入)での購入はおすすめできません。
自己判断で薬を選ぶこと自体がそもそも危険であり、ラブグラのように認められていない効果効能を謳ったり、国内で認められている治療用量を超えた薬も中にはあります。
さらにED治療薬は偽造品の流通量が多いことで知られ、約4割が偽造品であったとの調査報告もあるほどです。
FSD(女性性機能障害)の原因は複雑なことから、症状にお悩みの方は治療実績のあるクリニックに受診することをご検討ください。
まとめ
最後に、このページの内容をまとめてお伝えします。
- バイアグラは女性への効果が認められていない
- 服用してしまうと副作用が強く出たり、男性とは異なる症状が出るおそれがある
- 男性が処方を受けて女性に譲渡するのも禁止
- 女性用バイアグラとして販売されている「ラブグラ」の購入は控える
- 性的欲求低下障害の薬はアメリカで処方がスタートしている
- 婦人科を併設するクリニックに相談すれば、海外製医薬品でも処方が可能
女性の性機能障害は男性のEDとは異なるため、女性がバイアグラを使っても効果を得ることはできません。
効果のない薬の服用は副作用のリスクしか残らず、場合によっては重い副作用が起こることもあります。
興味本位で女性がバイアグラを服用するのは危険であり、処方を受けた本人以外の服用は法律で禁止されていることから、購入は絶対にお控えください。
よくある質問
しかし、これにより女性が性的感度や興奮が高まることはない上、女性の服用はメーカーの想定外の使用方法で、メーカーが行った大規模な臨床試験でも効果は認められていません。
また、男性と同じ副作用で済むとは限らず、バイアグラには重い副作用のリスクもあります。
女性の性機能障害への効果は認められていないので、女性がバイアグラを服用するのはお控えください。
ラブグラは女性の性機能障害に効果があるように宣伝されていますが、その裏付けとなる医学的根拠は全くありません。
また、用量も100mgとなり、国内で男性に使用される用量の2倍含まれています。
服用してしまうと予測できない副作用などが起こるリスクがあり、何が起こっても自己責任になってしまうので購入・服用はお控えください。
日本で女性に対してバイアグラを処方する医療機関はなく、処方された本人以外の使用は薬機法によって禁じられています。
譲り受けたり、医師以外からの購入も同様に禁止されており、場合によっては罰則の対象となるのでご注意ください。