
AGAの正しい予防方法やセルフケアを知っておくことで、将来の薄毛、抜け毛を減らすことができる可能性があります。
このページでは薄毛、抜け毛、AGAに有効な予防法について解説します。
また、AGA予防の妨げとなり、薄毛や抜け毛を進行させる習慣についても紹介します。
AGAや薄毛・抜け毛の予防方法
AGAや薄毛・抜け毛の予防方法を以下の6つに分けて解説します。
予防方法の紹介の前にまず知っておきたいこととして、健康な髪についての基本的な情報を紹介します。
健康な頭皮環境の人も毎日髪の毛は抜けていきますが、以下を目安として脱毛の兆候が見られた場合、予防をはじめたり、程度によってはすぐに治療を始める必要があります。
- 髪の毛は5~6年周期で生え変わる(ヘアサイクル)
脱毛量が増えたと感じたら注意 - 健康な人でも1日に100本程度脱毛する
毎朝枕につく髪の毛や、入浴で脱毛する髪が多くなったら注意 - 脱毛する髪の毛は退行期の髪の毛(若い髪の毛はあまり抜けない)
脱毛する髪に力強い若めの髪が増えたら注意
重要なのはAGA・薄毛や抜け毛の兆候があれば早めに予防するということです。
AGA治療薬(プロペシア)を使う
薄毛の原因がAGAの場合、AGAの予防にはAGA治療薬がもっとも有効です。
AGAは進行性の病気であるため、治療しない場合脱毛が収まることはありません。
AGA進行抑止に直接的に有効なのは、AGA治療薬の「プロペシア(フィナステリド)」と「ザガーロ(デュタステリド)」のみです。
なお、フィナステリドとデュタステリドは日本皮膚科学会診療ガイドラインでA~Dの推奨度のうち、AGAに対する推奨度は最高のAと評価されています。
一般的にAGA治療薬の副作用は軽微なものがほとんどですが、服用にあたってはクリニックで医師に相談するようにしましょう。
AGA治療薬の詳細は以下のページで詳しく紹介しています。
ミノキシジルを使う
発毛を促進する薄毛治療薬ミノキシジルもAGA予防には有効です。
ミノキシジルは、血流の改善と毛母細胞の活発化によって発毛促進する薄毛治療薬です。
AGAが原因の場合は、「プロペシア(フィナステリド)」または「ザガーロ(デュタステリド)」に、ミノキシジルを併用することで予防効果を高めることができます。
ミノキシジルには内服タイプと外用タイプがあり、効果の高い高濃度タイプや内服のミノキシジルタブレットはクリニックで処方できます。
一方、外用タイプは市販で購入できますが、ミノキシジルの濃度が低濃度のものに限られます。
市販の育毛剤を利用する
市販の育毛剤は厚生労働省が認めた有効成分を配合した医薬部外品などを購入できます。
医薬部外品は化粧品と医薬品の中間の製品で、予防に重点を置いた商品です。
- センブリ
- 冬虫夏草
- カンゾウ葉
- チンピ
- ニンジン
- グリチルリチン酸ジカリウム
- セラミド
- ノコギリヤシ
- トンカットアリ
- アミノ酸
など
育毛剤は主に外用薬で、頭皮の環境を整えたり、今ある髪の育毛を促進するもので、その効果は治療ではなく予防にあたります。
薄毛、抜け毛予防に効果的なヘアケアを行う
AGAや薄毛、抜け毛予防には頭皮環境を整えることも重要で、適切な頭皮のお手入れやヘアケアの方法を知る必要があります。
- 天然由来成分やオーガニックのシャンプー、トリートメントを使用
- ノンシリコンのシャンプーを使用
- 洗髪は頭皮の洗い残しがないように丁寧に皮脂や汗を洗い、すすぐ
- パーマはパーマ液の薬剤やロッドが頭皮に負担をかけるため、頻度やパーマ後のケアに注意する
- ブリーチやヘアカラーの使い方に注意する
- 髪を縛る際はきつく縛ったり引っ張りすぎない
- 頭皮のマッサージを行って血行の良い状態に保つ
など
これらの予防は1日で成立するものではないため、毎日のケアの実践と継続が重要です。
髪に悪い生活を改善する
髪に悪い生活習慣は薄毛、抜け毛に悪影響を及ぼします。
ライフスタイルを変えていくこともAGA予防には必要です。
頭皮の健康は体の健康があってこそ成立します。不健康な生活を続けることでヘアサイクルが乱れ、弱い毛髪が成長したり抜け毛が増えたりしないよう、毎日の改善が重要です。
- 喫煙者はタバコの量を減らす
タバコは血管が収縮して血流を悪化させることがわかっており、禁煙や減煙で対策 - 睡眠時間をしっかり確保し、なるべく規則正しい時間帯で就寝する
質の高い睡眠には、毎日同じ時間で就寝、起床することや、深夜0時前に寝ること、1日6~7時間程度は睡眠を確保することなどがある - 長時間同じ姿勢の仕事などは適度に休憩やストレッチをはさむ
パソコンや事務作業などで同じ姿勢を取り続けたり目を酷使すると、眼精疲労や肩こりで血流が悪化するため、体を動かす時間を作ることが重要 - 冷たい飲み物ばかり飲むと血行が悪くなるので常温や温かい飲み物も飲む
体を冷やすことで慢性的な血行不良を招くと、頭皮への栄養も送りにくくなるため、意識して常温の水や温かい飲み物を飲む - 過度なダイエットは行わない
過度なダイエットによる栄養不足は頭皮や毛髪への栄養も不足させる。医師やトレーナーの指導を受けるなど、計画的なダイエットなら安全 - 夏や日差しが強い日の紫外線対策を行う
紫外線の多い夏などは皮脂の酸化や発汗などの不衛生で頭皮や毛穴にダメージが蓄積する。夏場や季節の変わり目には特にシャンプーや頭皮ケアといった対策に注意する
など
サプリメントや食事で髪に栄養を送る
髪の毛は体の一部であることから、毛髪をつくる材料になる栄養素や髪に栄養を送るための血行を良くする食生活などを取り入れるのもAGA、薄毛予防には有効です。
- 動物性、植物性のタンパク質
髪の材料となる。
牛、鶏、魚、卵、納豆、豆腐など - ビタミン類
ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどは皮脂の分泌調整やコラーゲンの生成に関係している。
緑黄色野菜、豚肉(赤身やレバー)、ナッツ類、キウイ、パイナップル、全粒穀物など - ミネラル類
髪の成長に必要で、ミネラルは体で合成できないのですべて外部から取る必要がある。ミネラル不足は白髪にも関係している。カルシウム、鉄、亜鉛が髪に良いとされる。
乳製品、ナッツ類、ごま、海藻、魚介類、肉類など
また、効率的に髪に良い成分を継続して摂取できるサプリメントもAGA予防に有効です。
サプリメントはフィナステリドやミノキシジルといった医薬品との併用もできるため、より効果的に予防を行えるというメリットもあります。
AGAや薄毛・抜け毛予防の妨げとなる生活習慣
AGAや薄毛・抜け毛予防の妨げとなる代表的な習慣や生活には以下のようなものがあります。
多くの人の生活の中で起こる内容なので、知っておくことで適切な対策を行うことができ、予防につながります。
頭皮の乾燥など頭皮環境の悪化
頭皮の乾燥などによる頭皮環境の悪化は環境、体質、年齢、ライフスタイルが原因となっています。
もともと乾燥しやすい体質の人もおりますが、適切な対策をすれば乾燥を防ぐことができます。
- 乾燥しやすい体質・加齢
体質的に肌のバリア機能がもともと弱い方、乾燥肌の方は、外部からのストレス(紫外線や湿度の低下など)に弱く、頭皮にも乾燥が起こりやすくなる - エアコンによる空気の乾燥
暖房は乾燥から守るため皮脂の分泌が増え、逆に頭皮のベタつきが起きやすくなる。
冷房は髪のパサつき、枝毛、切れ毛、頭皮の血行不良による抜け毛などのトラブルにつながる - 冬や夏の紫外線の強い季節
このほか季節の変わり目は「ゆらぎ肌」という、頭皮や肌が外からの刺激に影響を受けやすい状態になる。 - 間違ったスキンケア
水分や皮脂不足をもたらす間違ったスキンケアを行うと、頭皮のフケやかゆみ、抜け毛などに現れる。シャンプーやローションといった商品でケアする。低刺激な製品を選ぶといった方法も有効
ストレス
過度なストレスが身体の異常を引き起こすことで、抜け毛が発症します。
- 自律神経の乱れ
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がある。
ストレスを受け続けると、緊張状態を作る交感神経が働き続けることで、血流が悪くなったり、睡眠不足が起こり、髪の成長に悪影響を与える - ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れるとストレスホルモンのコルチゾールが分泌し髪の成長に必要な男性ホルモンのテストステロンが減少する
また、コルチゾールはAGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)生成を促進する - 自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来身体を守るはずの免疫が、なんらかの異常により身体を攻撃してしまう症状
ある実験では「ストレスによって自己免疫疾患のリスクが増えた」という結果もあるため、何かしらの関係があるとされている
症状が抜け毛の場合は免疫の攻撃対象が毛根となり、一気に抜け毛が起こる
ちなみにストレスはAGA以外の円形脱毛症の原因にもなっています。
上記のうち自己免疫疾患が該当します。
円形脱毛症は丸い小さなハゲができるイメージですが、進行すると頭部全体が脱毛することもあります。
ストレスをもたらす身体の異常は運動不足、睡眠不足、食生活や食事の乱れといったことから健康を損ない起こるため、日頃の予防が重要です。
朝シャン
「朝シャンはハゲる」といわれる根拠は以下のためです。
- 髪の成長を阻害する
成長ホルモン分泌の関係から、髪は夜寝ている間にもっとも成長する。
そのため1日の汚れ・皮脂が頭皮や毛穴に残ったままの状態で寝ると、髪の成長を阻害する可能性がある - 紫外線の影響
朝シャンによって必要な皮脂まで洗い流してしまうと、頭皮は紫外線の影響を受けやすくなる。
さらに紫外線によって頭皮が乾燥すると必要以上に皮脂が分泌される。
乾燥によるフケやかゆみ、さらには光老化と呼ばれる紫外線のダメージによって抜け毛を助長するデメリットの可能性もある - 洗い残し・すすぎ残し
朝バタバタしているタイミングでのシャンプーは大雑把になり、洗い残しやすすぎ残しで、蓄積した皮脂によって頭皮や毛穴へのダメージになる可能性がある
朝シャンの習慣を変えたくない場合は、頭皮や髪の負担を避けられるアミノ酸系やベタイン系のシャンプーを選んだり、38〜40℃のお湯でマッサージするように洗う(湯シャン)がおすすめです。
まとめ:AGAや薄毛・抜け毛の予防方法について
最後にこのページの内容を簡潔にお伝えします。
- AGA治療薬や薄毛治療薬は予防にも有効
- 普段の生活で予防する方法には「市販の育毛剤を利用」「ヘアケアを行う」「髪に悪い生活を改善する」がある
- AGA治療薬の服用と並行してサプリメントの摂取やその他の改善を行うとさらに予防効果は上がる
- AGAや薄毛・抜け毛予防の妨げとなるのは「頭皮乾燥など頭皮環境の悪化」「ストレス」「朝シャン」などがある
AGAは進行性のある症状なので、早めに対処しないとどんどん薄毛が悪化してしまいます。
治療が必要な方や、自己判断ではAGAの度合いが分からないという方は、お気軽にご相談ください。
AGAや薄毛・抜け毛の予防方法に関するよくある質問
-
- Qどれくらい毛が抜けたら「抜け毛が多い」状態で予防が必要なのでしょうか?
- A季節にもよりますが、通常は1日に50~100本の髪の毛が抜けます。
これ以上になると抜け毛が多い状態と言えます。
- Q
-
- QAGAは治りますか
- A進行度合いにもよりますが、抜け毛抑制・発毛促進の治療を行うことで改善されます。
- Q
-
- Q自慰行為(オナニー)ではげるというのは本当ですか?
- Aオナニーが薄毛の直接的な原因になってしまうことはありません。
噂の理由として、「射精で亜鉛やタンパク質が消費される」「自慰行為によってAGAをもたらす男性ホルモンが増加する」などがありますが、いずれも間違った情報です。
なお、自慰行為によってテストステロン値が増加するデータはありますが、AGAをもたらすのはジヒドロテストステロン(DHT)というまったくの別物です。
- Q
-
- Q筋トレやプロテイン摂取ではげるというのは本当ですか?
- A筋トレによる効果とAGAに関係するものとして、「筋トレで男性ホルモンが増えてハゲる」という噂は間違いです。
また、効率よくタンパク質を摂取できるプロテインは、髪にとってプラスになるといえます。特に大豆プロテインは髪の健康に効果のあるエストロゲンと似た働きも期待できます。
しかし、摂取量には注意が必要で、バランスの取れた食事も重要です。
また、強度の高い筋トレを行う人でクレアチンを摂取することがありますが、クレアチンには、薄毛の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)を増やす可能性があると見られています。
- Q
-
- Q夏は抜け毛がひどいのですが、原因を教えてください
- A夏の抜け毛の原因は「皮脂の増加」「紫外線によるダメージ」「海やプールのpH(ペーハー:アルカリ性・酸性を示す数値)や塩素」「エアコンによる乾燥」「季節の変化によるストレス」などが挙げられます。
対策としては紫外線や暑さ、乾燥から頭皮を守ることや清潔に保つことなどです。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
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この記事の監修

(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務