背中や腰の近くは皮脂腺が発達しているため、顔と同じようにニキビができやすい部位のひとつです。
普段目につきにくいことから、気づいた時には症状が悪化しているケースも少なくありません。
そのまま放置してしまうと、痛みや炎症、化膿を伴うだけでなく、ニキビの後遺症(色素沈着やクレーター状の跡)が残るリスクも高まります。
また症状が似ているがゆえに、ニキビと間違えやすい疾患もいくつかあります。
このページでは、背中ニキビが発生する原因を男女別に詳しく解説し、ニキビを改善する方法や跡を残さないための治し方についてもお伝えしていきます。
さらに類似の皮膚疾患にも触れているので、背中の肌トラブルにお悩みの方はぜひご参考ください。
ニキビの場所別 原因・種類・症状について 背中ニキビを早く治す方法を見る
男性・女性別|背中ニキビの原因
背中ニキビは、男女を問わず以下のような共通の原因によって発生することがあります。
- 生活習慣の乱れ
- 洗い残し
- 汗による蒸れ
- 不適切なスキンケア
この他に男性と女性ではそれぞれ特有の原因があるので、以下より男女別に背中ニキビが発生する主な原因を詳しく解説します。
ご自身のライフスタイルや体質に当てはまることがないか、ぜひチェックしてみてください。
男性に多い背中ニキビの原因
男性に多い背中ニキビの原因としてあげられるのが、以下のようなことです。
- 筋トレやスポーツ後のシャワー忘れ
- 硬めのボディタオルでのゴシゴシ洗い
- 汗や汚れの蓄積
汗や汚れ、強い刺激により、背中はニキビのできやすい環境になりがちです。
ご自身の日常にこれらの原因が潜んでいないか振り返ることが、背中ニキビ改善の第一歩となります。
女性に多い背中ニキビの原因
女性に多い背中ニキビの原因としてあげられるのが、以下のようなことです。
- ブラジャーなど下着の圧迫による刺激
- インナーが化学繊維で蒸れている
- ネックレスのアジャスターによる摩擦
- (特に生理前の)ホルモンバランスの乱れ
- ボディケア製品が肌に合っていない
女性は日常的に身につけるものやケアの方法、また女性特有の周期的な体の変化が背中にニキビを発生させる原因になります。
背中ニキビの治療に用いられる薬
背中ニキビは生活習慣や肌への刺激、ホルモンの変化など、さまざまな原因が重なって発生します。
原因を取り除くことが基本ですが、症状が重い場合や、市販薬を使用しても改善がみられない場合には、以下の医師処方の薬を使った治療を検討しましょう。
<内服薬>
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
イソトレチノイン | ビタミンA誘導体 | 皮脂分泌を抑えてニキビの発生や炎症を防ぐ 重度のニキビに用いられる |
全身の皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、など |
シナール | アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを整えて活性酸素を抑制する、ニキビ跡の色素沈着の予防・改善をサポート | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
ハイチオール | L-システイン | 酸化ストレスを防ぎ、色素沈着の予防をサポート | 吐き気、下痢など |
ユベラ | トコフェロール酢酸エステル | 肌のターンオーバーにより色素の排出を促すことでニキビ痕が薄くなる効果が期待できる | 便秘、胃の不快感、下痢、発疹 |
Lypo-C Vitamin C | アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを促し、ニキビによる色素沈着を防ぐ働きを持つ。 | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
Lypo-C Vitamin C+D | ビタミンC、ビタミンD | 肌のターンオーバー促進に加え、抗炎症作用によりニキビの悪化を予防。 | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
※スクロールしてご覧ください
<外用薬>
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
デュアックゲル | クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル | 抗炎症作用・抗菌作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
乾燥、皮膚剥脱、紅斑、かゆみなど |
エピデュオゲル | アダパレン/過酸化ベンゾイル | コメド発生を抑制・抗菌作用・角質剥離作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
皮膚刺激、皮膚疼痛、アレルギー性皮膚炎など |
※スクロールしてご覧ください
背中ニキビをキレイに治すケア方法
背中ニキビを治すには適切な治療薬だけでなく、日常生活でのケアも欠かせません。
特に背中ニキビを悪化させる要因を減らし、肌に優しい環境を作ることが重要です。
以下のケア方法を取り入れることで、背中の肌トラブルを改善し、よりキレイな背中を目指せます。
次に、これらのケア方法について詳しく解説していきます。
日常生活で無理なく実践できるポイントを押さえて、背中ニキビの改善に役立てていきましょう。
運動後は必ず汗を拭きとる・シャワーを浴びる
運動後や汗をかいた後は、できるだけ早めにシャワーを浴びて汗を洗い流しましょう。
背中は手が届きにくく、汗が残りやすい部位のため、意識的に清潔を保つことが大切です。
シャワーを浴びる際は、以下の順番で洗うようにしてください。
髪→顔→上半身→下半身の順番で洗うことで、シャンプーやボディソープの洗い残しを防ぎ、毛穴詰まりによるニキビのリスクを軽減できます。
またシャワーがすぐに浴びられない状況であれば、吸汗性の良いタオルなどで背中を拭き、汗を長時間放置しないことが背中ニキビ予防の鍵です。
下着・インナーを自然素材のものに変える
ナイロンなど化学繊維のインナーは通気性が悪く、汗や皮脂がこもりやすく蒸れやすいため背中ニキビの原因になりやすいです。
これを防ぐためには綿やシルクといった自然素材で作られた、蒸れにくいインナー選びを意識してみてください。
また、下着の締め付けや縫い目が刺激となってニキビを引き起こす場合もあります。
このような場合は、ノンワイヤーやシームレスデザインの下着に切り替えたり、定期的にサイズを見直すのも効果的です。
適切な素材とデザイン・サイズを選び、背中に優しい環境を整え、ニキビの予防に役立てましょう。
髪の毛や衣類、アクセサリーなど外部刺激を避ける
背中ニキビの原因のひとつとして、髪の毛や衣類、アクセサリーなどによる外部刺激があげられます。
これらが肌に摩擦や負担をかけることで、炎症やニキビが発生しやすくなるため、以下の点に注意しましょう。
◾️背中ニキビを予防する工夫
●ロングヘアの人は髪の毛をまとめる
髪が背中に触れると皮脂や汗などの汚れが付着し、肌に刺激を与えることがあります。ポニーテールやアップスタイルなど、背中にかからないよう髪をまとめるヘアスタイルがおすすめです。
●金属製のアクセサリーを避けるか、定期的にお手入れする
金属製アクセサリーは汗で錆びたり変色したり、皮脂の付着が肌への刺激になることがあります。ニキビがある時は着用を控えるか、使用した後にきれいに拭き取るなどのお手入れを心がけましょう。
●衣類の摩擦を避ける
フィット感が強い服や硬い素材の衣服は背中に摩擦が生じやすいです。ニキビを悪化させたり、偶然潰してしまうことを防ぐためにも、ゆったりとしたデザインや肌触りの良い柔らかい素材の服を選んでみてください。
●やわらかめのボディタオルに変える
硬いボディタオルは肌を傷つけ、炎症を引き起こすことがあります。肌触りがやわらかなものに変えて、優しく洗い上げることで背中への負担を軽減できます。
これらの工夫を取り入れることで外部刺激を減らし、背中ニキビを予防しやすくなります。
ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスの乱れが背中ニキビの原因になることがあるため、以下の習慣を取り入れてバランスを整えましょう。
◾️ホルモンバランスを整える習慣
●規則正しい食事
良質な動物性タンパク質(鶏肉、魚、卵など)を適度に摂取し、栄養バランスの取れた食事を意識。
●十分な睡眠
できる限り毎日同じ時間に寝起きし、7~8時間のまとまった睡眠を確保する。
●適度な運動
1日20分以上軽い有酸素運動やストレッチを週に2〜3日行う。
●ストレス管理
趣味やリラックスできる時間を大切にし、ストレスを溜め込まない。
これらの習慣を無理のない範囲で取り入れることでホルモンバランスが整いやすくなり、背中ニキビの予防にもつながります。日常生活に少しずつ取り入れてみてください。
背中ニキビと間違えやすい疾患
背中ニキビと似た症状を持つ疾患として、以下があげられます。
◾️背中ニキビに似た皮膚疾患
●マラセチア毛包炎
真菌(カビ)の一種が毛穴で増殖し発生する炎症で、赤いブツブツやかゆみを伴うことがあります。
●毛嚢炎
細菌感染による毛穴の炎症で、赤みや膿を持つブツブツが特徴です。
●おでき(せつ)
毛嚢炎が悪化して皮膚の奥深くまで炎症が広がった状態で、痛みや腫れが強いことが特徴です。
これらの皮膚疾患は見た目が似ていますが、原因が異なるため治療法も異なります。
特にマラセチア毛包炎はニキビ治療薬では改善できないため、症状が続く場合は皮膚科の受診を推奨します。
背中ニキビは自分で確認しづらいため医師に診てもらうと安心
背中ニキビは自分で状態を把握しづらく、適切な対処が遅れてしまうと悪化したり、ニキビ跡になってしまう場合もあります。
<背中ニキビのまとめ>
- 背中ニキビは男女で異なる原因がある
- 医療機関で処方される薬が背中ニキビには効果的
- 広範囲にできている場合には外用薬よりも内服薬の方が適している
- 適切な治療だけでなく、日常生活の見直しも欠かせない
- 背中ニキビと似た皮膚疾患もあるので、症状が続く場合は皮膚科に受診
背中のできものは自己判断せず、医師の専門的な診断を受けることで早期治療につながります。
背中ニキビのよくある質問
-
- Q
背中ニキビを診てもらえるのは皮膚科ですか?
- A
はい、背中ニキビは皮膚科で診てもらえます。
皮膚科では背中ニキビの原因を特定し、適切な治療薬やケア方法を提案してもらえます。
特に、背中ニキビは他の皮膚疾患と間違えやすいため、専門医に診察してもらうことで正確な診断と治療が可能です。
症状が続く場合や悪化している場合は、早めに皮膚科を受診することを推奨します。
- Q
-
- Q
背中ニキビに効く最強の市販薬はありますか?
- A
背中ニキビに効果的な市販薬として、以下の製品があげられます。
- オロナインH軟膏
- セナキュア
- クレアラシル ニキビ治療薬
ただし、配合されている成分によっては逆効果となる場合があるため、必ず薬剤師と相談の上で購入するようにしてください。
- Q
-
- Q
男で背中ニキビがひどいのはなぜですか?
- A
男性は皮脂腺が特に発達しており、皮脂や汗が背中に溜まりやすいことが主な原因です。
他にも、化学繊維に使われた衣類による摩擦、生活習慣の乱れなどが影響することもあります。
ニキビの類似疾患もあるため、背中のブツブツがひどいと感じるようであれば一度皮膚科医に相談することを推奨します。
- Q
特に背中は広範囲で塗り薬が使いにくい部位のため、内服薬の使用が効果的とされています。