ストレスが続くと、気づかないうちに肌にも影響が現れることがあります。
特に、頬や口周り、フェイスラインにできるニキビは、ストレスが原因の「ストレスニキビ」の可能性があります。
本記事では、ストレスが引き起こすニキビの原因や治し方、そして効果的なストレス解消法についてもわかりやすく解説します。
ストレスもニキビも減らして、肌と心のコンディションを整えていきましょう。
ストレスによってニキビができる原因
「ストレスは万病の元」と言われ、肌にも悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
以下は、ストレスが引き金になって発生するニキビの主な原因です。
必ず特定の原因があるというわけではなく、さまざまな原因が複雑に絡み合ってニキビが発生します。
次の章では、それぞれのストレスニキビの原因について詳しく見ていきましょう。
男性ホルモンが活発になる
強いストレスや急激なプレッシャーを感じると、体内で一時的に男性ホルモン(アンドロゲン)が増加することがあります。
アンドロゲンは皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進するホルモンです。
この作用により普段よりも多くの皮脂が分泌され、毛穴を詰まらせる原因となります。
毛穴が詰まると、そこにアクネ菌が増殖し、ニキビが発生しやすくなります。
特に、ストレスが継続するとこのサイクルが繰り返され、ニキビが悪化する可能性もあるので改善が必要です。
自律神経が乱れる
ストレスがたまってくると、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れやすくなります。
交感神経の働きが優位になってしまうことで起こるのが、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」の増加です。
このホルモンにより血行が悪くなり、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が妨げられます。
その結果、肌の健康は次第に崩れていき、古い角質が残ることでニキビや肌荒れが起きやすくなるのです。
ビタミンが不足する
身体がストレスを受けると、それに対抗するためにコルチゾールが分泌されます。
コルチゾール自体がニキビに影響を与える一方で、分泌される過程で大量のビタミンCが消費されています。
ビタミンCの美肌効果としてわかっていることは、以下のとおりです。
- 皮脂抑制
- 毛穴引き締め
- 肌の弾力を保つ
- コラーゲンの産生を促す
など
ビタミンCは肌のコンディションを整える栄養素であり、ビタミンCを含むビタミン類は、ストレス緩和に関係する「セロトニン」の合成にも関係してきます。
したがって、ストレスによってビタミンCが大量消費されるとニキビができやすくなります。
さらに、ストレスによる暴飲暴食によって栄養不足が重なると、ニキビをさらに悪化させるため要注意です。
肌のバリア機能が低下する
ストレスによって肌のターンオーバーが乱れると、バリア機能が低下します。
この状態は「ゆらぎ肌」と呼ばれ、肌のコンディションが不安定になりやすく、普段は問題ない化粧品や環境にも敏感に反応します。
また、乾燥が進むと皮脂トラブルも発生しやすくなり、ニキビができやすい状態に陥ってしまいます。
新たなニキビの発生や長引く原因にもなるので、ストレスケアは肌の健康を考える上でも欠かせません。
ストレスニキビに有効な薬や施術
ストレスニキビに有効な薬には、大きく内服薬と外用薬の2つのタイプがあります。
単剤で使うだけでなく、ニキビの状態によっては2つを併用することもあり、軽度の段階からでも使用が可能です。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
デュアックゲル | クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル | 抗炎症作用・抗菌作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
乾燥、皮膚剥脱、紅斑、かゆみなど |
エピデュオゲル | アダパレン/過酸化ベンゾイル | コメド発生を抑制・抗菌作用・角質剥離作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
皮膚刺激、皮膚疼痛、アレルギー性皮膚炎など |
ゼビアックスクリーム・ローション | オゼノキサシン | 抗菌作用 炎症性ニキビ全般に有効 |
乾燥、刺激感、かゆみなど |
イソトレチノイン(内服薬) | ビタミンA誘導体 | 皮脂分泌を抑えてニキビの発生や炎症を防ぐ。 重度のニキビに用いられる。 |
全身の皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、など |
ビブラマイシン(内服薬) | ドキシサイクリン | 抗菌作用でアクネ菌を増殖を抑える | 吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢など |
シナール(内服薬) | アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを整えて活性酸素を抑制する、ニキビ跡の色素沈着の予防・改善をサポート | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
ハイチオール(内服薬) | L-システイン | 酸化ストレスを防ぎ、色素沈着の予防をサポート | 吐き気、下痢など |
ユベラ(内服薬) | トコフェロール酢酸エステル | 肌のターンオーバーにより色素の排出を促すことでニキビ痕が薄くなる効果が期待できる | 便秘、胃の不快感、下痢、発疹 |
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) | ケイガイ・レンギョウ・トウキ・シャクヤク・センキュウなど | 面ぽう(コメド)に他の治療が無効、または他の治療できない場合の治療として推奨 | 発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃部不快感など |
※スクロールしてご覧ください。
また、クレーターや色素沈着といったニキビ後遺症には、レーザー、ケミカルピーリング、イオン導入など施術治療が用いられることもあります。
ストレスニキビは薬を使った原因への直接的なアプローチだけでなく、心のケアもしなければ再発や悪化を繰り返すリスクがあります。
上記の治療と合わせて、次の章でご紹介するストレスを軽減させる方法も積極的にお試しください。
ストレスを溜めない・解消する方法
ストレスが肌に与える影響を防ぐためには、ストレスをできるだけ溜めず、うまく解消することが大切です。
ニキビ予防だけでなく、心身の健康を保つためにも、日常生活で取り入れやすい以下のストレス解消法を実践してみましょう。
どれも日常生活に取り入れやすい方法なので、できる範囲から少しずつはじめることを推奨します。
十分な睡眠をとる
睡眠は、身体を休息させ、日中のダメージを修復するメンテナンスの時間です。
肌にとっても同様で、十分な睡眠を取ることで、肌のターンオーバーが整い、低下した肌のバリア機能も回復します。
そのため、1日6〜8時間のまとまった睡眠を確保することが大切です。
質の良い睡眠を取ることで、ストレスニキビの予防にもつながります。
適度に運動をする
適度な運動は、ストレスにもニキビにも効果的です。
運動は気分転換やストレス発散・解消につながり、QOL(生活の質)を高めることにつながります。
これにより、ニキビに対しても嬉しい効果が期待できます。
- 自律神経が整う
- 肌のターンオーバーの正常化
- 老廃物の排出
- 代謝を高める(肌のバリア機能を高める)
ハードな運動は逆効果になることもあるので、軽く汗ばむ程度の運動を1日20分を目安に行ってみてください。
必ずしもまとまった時間を確保する必要はなく、通勤・通学時に歩く距離を伸ばしたり、階段を積極的に使うなど、日常的に運動を取り入れていきましょう。
ストレスに有効な栄養素を摂る
ストレスを軽減するためには、適切な栄養素を摂取することが大切です。
以下の栄養素は、ストレス対策に効果的な成分です。
幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の合成をサポートして、心を落ち着ける働きが期待できます。また睡眠ホルモンである「メラトニン」の材料にもなるので、ぐっすり眠ることにもつながります。
●ビタミンB6ビタミンB群には自律神経を整える働きがあります。ストレスによる交感神経が優位な状態を抑える、セロトニンやGABAの生成にも使われる栄養素です。
●ビタミンC抗酸化作用により細胞が傷ついてしまうのを防ぎ、コラーゲンの生成を促して肌の調子を整えます。また、抗ストレスホルモンが作られることで、ストレスに負けない体づくりをサポートします。
●ビタミンD免疫力をアップする働きがあります。これにより抗炎症作用が高まり、ニキビの発生や悪化を予防が期待できます。
●カルシウム・マグネシウムカルシウムやマグネシウムは、ホルモンバランスの維持に関わる重要な栄養素です。肌の潤いやハリ・弾力、ターンオーバーを正常に保つ働きが期待できます。
●タンパク質肌細胞や組織を修復したり、再生させる役割があります。
これらの栄養素をバランス良く摂取することで、ストレスによるニキビや肌荒れの改善をサポートできます。
ただし、特定の栄養に偏ると栄養バランスが崩れてしまうので、さまざまな食材からバランス良く摂取することを意識してみてください。
日光浴・森林浴をする
日光浴・森林浴は、陽の光を十分に浴びることで、セロトニンやビタミンDが作られ、心身にプラスの影響を与えます。
これによりリラックス効果が得られ、気持ちも前向きになることでストレス軽減につながります。
また森林浴では、自然の中に身を置くことで日常の喧騒から離れ、リフレッシュ効果が得られます。
研究では森林浴によってストレスホルモン「コルチゾール」の濃度が低下し、心身のリラックスを促すことが確認されています。
また、樹木から放出される「フィトンチッド」という物質には、心を落ち着ける効果があるため、時間があれば自然の中で過ごすことをおすすめします。
湯船につかる
ぬるめの湯船につかると、心身がほぐれて自律神経のバランスが整います。
体の芯まで温まることで神経や筋肉の緊張がとけていき、それに伴って副交感神経(リラックス時に活発になる神経)が優位になるためです。
- 20分前後つかる(苦手な方は10分でもOK)
- お湯の温度は38〜40度に設定する
熱い湯船が好きな方もいますが、逆に体を緊張させてストレスにつながることもあるのでご注意ください。
まとめ:ストレスと上手に付き合いニキビを治そう
日常生活でストレスを上手に管理し、ストレスニキビを予防するためのポイントを以下にまとめました。
- ストレスはニキビや肌荒れの原因になる
- 乾燥や皮脂トラブルなどによりニキビができやすい肌環境になる
- 睡眠や運動、適切な栄養素の摂取がストレス緩和に効果的
- ストレス環境から離れて、日光浴や森林浴をするのもひとつのリラックス法
- 湯船は自律神経のバランスを整えてくれる
ストレスは自己管理ではどうにもならないこともあり、ニキビがなかなか改善されないこともあります。
またニキビの原因は1つではなく、体質以外にもさまざまな環境が影響していることもあります。
セルフケアで治らない場合には、それ以上悪化させないためにも、医師に相談してニキビ治療も検討してみてください。
ストレスニキビのよくある質問
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- Qストレスニキビの特徴は何ですか?
- Aストレスニキビは、主にストレスによってホルモンバランスが乱れることで発生します。
特に、顎やフェイスライン、頬などに繰り返しできやすいのが特徴です。
- Q
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- Qストレスでニキビができるのはなぜですか?
- Aストレスが、ホルモンバランスや自律神経を乱してしまうためです。
これにより、皮脂の過剰分泌や肌のターンオーバーを妨げられてしまい、古い角質で栓をされた毛穴ではアクネ菌が増殖してニキビが現れます。
- Q
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- Qストレスニキビはどの位置にできますか?
- Aストレスニキビは、主に顎やフェイスライン、頬などに発生しやすいです。
肌のバリア機能が低下した部分や、皮脂分泌がもともと多い部位に現れやすい傾向にあります。
- Q
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- Q何をしてもニキビが治らないのですが?
- Aストレスが原因の可能性があります。
まずは何がストレスになっているのかを確かめ、ストレス源から一定の距離を置いてみましょう。
ただし、セルフケアには限度があります。
繰り返しのニキビに悩んでいる場合には、医療機関で適切な治療を受けることをご検討ください。
- Q
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