タミフルはインフルエンザの発症を抑える治療薬として広く知られていますが、条件を満たせば予防目的で使用されることもあります。
このページでは、タミフルのインフルエンザに対する予防効果やリスク、副作用、予防投与の正しい方法を詳しく解説します。
さらに、服用時に注意すべき点や予防用としての入手方法についてもご紹介しますので、安心して検討できる参考としてお役立てください。
当院ではオンライン診療によるインフルエンザ予防薬処方を行っております。
予防投与の条件や予防薬については、お気軽にご相談ください。
インフルエンザ予防(オンライン診療)
タミフルとは
タミフルは、スイスのロシュ社が開発したインフルエンザ治療薬で、有効成分はオセルタミビルです。
ウイルスの増殖を抑えるノイラミニダーゼ阻害薬に分類され、現在は同等の効果をもつジェネリック医薬品も複数のメーカーから販売されています。
当院では、予防目的の自由診療として処方を行っています。
| タミフルの概要 | |
|---|---|
| 製品画像 |
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| 一般名 (成分名) |
オセルタミビルリン酸塩 |
| 剤形 | カプセル、ドライシロップ |
| 予防効果 | A型・B型インフルエンザの発症を予防 |
| 予防での 用量・用法 |
小児(37.5㎏以上)~成人: 1回75mgを1日1回、7~10日間の服用 小児(37.5㎏未満): 1回75mgを1日1回、10日間の服用 |
| 主な副作用 | 下痢、腹痛、悪心など |
| 重篤な副作用 | アナフィラキシー、肺炎、肝機能障害など |
| その他の 副作用 |
口内炎、食欲不振、傾眠 など |
| 服用禁止 | タミフルの成分に対し過敏症の既往歴がある方 |
| 服用注意 |
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| 保管方法 | 直射日光や高温多湿を避け、 子どもの手の届かない場所で室温(15〜25℃)で保管 |
タミフルの予防効果
感染者との接触などインフルエンザウイルスへの感染の可能性がある状況下でタミフルを投与すると、A型・B型インフルエンザの発症を抑える予防効果が認められています。
インフルエンザウイルスはヒトの粘膜細胞に感染すると、細胞内で新たなウイルスを作るという特徴があります。
ウイルスは細胞から出て、また別の細胞へと感染を繰り返し増殖します。
タミフルはノイラミニダーゼ阻害剤に分類され、新たなウイルスが細胞から出る(遊離)のを阻害することで増殖を抑える働きがあります。
タミフルの予防効果の継続に関しては、服用している期間中に限ります。
ただしタミフルは、ワクチンによる予防に代わるものではありません。
ワクチンはウイルス抗原を用いて免疫を獲得し、将来的な感染を予防する手段です。
一方のタミフルは、あくまでも感染リスクがあった際、インフルエンザが発症する前にウイルスの増殖を抑えることで予防する治療薬となります。
したがって、確実に予防するにはワクチン接種との併用が効果的です。
タミフルの副作用
タミフルの主な副作用は、発疹、下痢、吐き気などの胃腸症状などです。
タミフルは多くの方に使用されているインフルエンザ治療薬ですが、人によっては副作用が現れることがあります。
現在報告されている副作用は、比較的軽い症状から注意が必要な重い症状まで様々です。
以下では、タミフルで報告されている副作用を「頻度の高い副作用」「重篤な副作用」「その他の副作用」に分けて詳しく説明します。
服用を検討する際は、効果だけでなく副作用についても正しく理解しておくことが大切です。
頻度の高い副作用
タミフルの副作用として報告されている症状の中でも、0.1%以上の確率で生じる可能性があるものを頻度の高い副作用として紹介します。
以下で紹介する症状の多くは一時的で軽度な症状であり、時間の経過とともに自然に改善することが多いとされています。
ただし、症状が続く場合や悪化する場合は医師や薬剤師に相談してください。
| 頻度の高い副作用 |
|---|
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重篤な副作用
まれではありますが、タミフルの服用により重篤な副作用が現れることがあります。
以下のような症状が見られた場合はすぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
| 次の症状に気づいたら服用を中止して すぐに医師にご相談ください |
|---|
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その他の副作用
タミフルの服用により、上記以外にも比較的まれな副作用が報告されています。
これらの症状は軽度であることが多いものの、改善が見られない場合や長引く場合には医療機関の受診が必要です。
| その他の副作用 | |
|---|---|
| 皮膚 | 蕁麻疹、皮下出血、紅斑、そう痒症 |
| 消化器系 | 口内炎、食欲不振、お腹の張り、口腔内の不快感、便の異常、口唇炎、血便、黒色便(メレナ)、吐血、消化性潰瘍 |
| 精神神経系 | 傾眠、嗜眠、感覚鈍麻、激越、振戦、悪夢 |
| 循環器 | 動悸、上室性頻脈、心室性期外収縮、心電図異常 |
| 肝臓 | γ-GTPの増加、ALPの増加、ASTの増加 |
| 腎臓 | 血尿 |
| 呼吸器系 | 気管支炎、咳、鼻血 |
| 眼 | 眼の痛み、視覚障害(視野の欠損、視力の低下)、霧視、複視、結膜炎 |
| 全身症状 | 血中のブドウ糖の増加、背部痛、胸の痛み、浮腫、疲労、不正出血、耳の障害(灼熱感、耳の痛みなど)、発熱 |
これらの副作用は極めてまれですが、命に関わる可能性があるため注意が必要です。
服用中に上記のような症状が表れた場合は、直ちに医師の診察を受けてください。
タミフルによる異常行動とは
タミフルに関して話題となる異常行動は、タミフルが直接の原因とは限りません。
インフルエンザ罹患時には治療薬の服用の有無にかかわらず、一時的な精神・神経症状があらわれることがあります。
そのため、タミフルだけが異常行動を引き起こすわけではない点を理解しておくことが大切です。
- 意識がもうろうとする
- 突然立ち上がって走り出す
- 意味のない言葉を繰り返す
- ベランダや窓から飛び出そうとする
- 急に暴れ出す
これらの行動は多くの場合、発熱による一時的な脳機能の変化や睡眠不足、脱水などが関係しているとされています。
- 発熱初期には一人で行動させないよう注意する
- 特に小児・未成年は保護者が目を離さない
- 就寝時は鍵の管理や窓の施錠を行う
万が一異常行動が起きた場合でも慌てずに安全確保を優先し、速やかに医療機関へ連絡してください。
ほとんどのケースは一過性であり、適切な対応を取ることで重篤な事故を防ぐことができます。
タミフルの予防投与の方法
タミフルは、インフルエンザ感染者との接触後に発症を防ぐ目的で使用することができます。
予防投与をすることでウイルスが体内で増殖する前に抑制し、発症を防ぐ効果を期待することが可能です。
| 予防投与の方法と期間 |
|---|
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タミフルの予防投与は、ワクチン接種や手洗い、マスク着用といった基本的な感染対策と併用することで、より高い予防効果が得られます。
タミフルを予防で服用する際の注意点
タミフルを安全に使用するためには、持病や体質、年齢などに応じた注意事項を理解しておくことが大切です。
以下では、病気や属性ごとにタミフルの服用に注意が必要な方を整理しました。
| 病気や症状による注意事項 | |
|---|---|
| 服用禁止 | タミフルの成分オセルタミビルに過敏症の既往歴がある方。 |
| 慎重投与 | 腎機能が低下している方。 |
| 服用注意 |
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| 投与指示 |
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| 患者の属性による注意事項 | |
| 相対禁止 | 妊娠中、または妊娠している可能性がある女性 |
| 服用注意 |
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| 年齢や性別に応じた注意事項 | |
| 服用注意 |
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タミフルと他の薬剤との相互作用
タミフルは、他の医薬品と併用する際に注意が必要な場合があります。
以下の医薬品はタミフルとの相互作用が確認されているため、現在服用している場合は必ず医師または薬剤師に相談してください。
- ワルファリンとの併用:
プロトロンビン時間(血液が固まるまでの時間)が延長し、出血しやすくなる恐れがあります。 - 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンとの併用:
タミフルがウイルスの増殖を抑え、ワクチンの効果が十分に得られない可能性があります。
タミフルのジェネリックについて
タミフルは、世界各国の製薬会社からジェネリック医薬品が製造されています。
ジェネリック医薬品は、先発薬の特許が切れた後に製造が認められる後発医薬品です。
先発薬と同じ有効成分を使用するため、タミフルジェネリックはタミフルと同等の効果や安全性が期待できます。
さらに、ジェネリック医薬品は先発薬よりも安価に購入できます。
日本政府も医療費削減の一環としてジェネリック医薬品の利用を積極的に推進しています。
タミフルの入手方法
タミフルをインフルエンザの予防目的で購入する場合は、自由診療に対応したクリニックで処方してもらうことができます。
安全に使用するためには、必ず医師の診察と指示に従うことが必要です。
なおタミフルは医師の診察を受けたうえで処方される医療用医薬品であり、ドラッグストアなどでは市販されていません。
その他インフルエンザ予防薬の種類について以下のページで解説しています。 インフルエンザ予防薬の種類
タミフルで効果的なインフルエンザの予防を
- タミフルは治療だけでなく、条件を満たせば予防目的でも使用できる。
- 感染者との接触後の服用で、A型・B型インフルエンザの発症を防ぐ効果がある。
- 予防投与は1日1回75mgを7〜10日間服用するのが一般的。
- ワクチンとの併用により、より高い予防効果が期待できる。
- 副作用や持病の有無に注意し、必ず医師の診察・指導のもとで使用する。
タミフルによる予防は、家族や職場で感染が広がるのを防ぎ、受験や出張など大切な予定を安心して迎えるためのサポートにもなります。
早めの対策で、流行期を安全に過ごしましょう。
以下のページにてインフルエンザ予防の詳細を詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。 インフルエンザ予防オンライン診療
タミフルに関するよくある質問
-
- Q
タミフルでインフルエンザは予防できますか?
- A
タミフルには、A型およびB型インフルエンザの発症を抑える予防効果があります。
感染者との接触後に服用を開始することで体内でのウイルス増殖を抑え、発症の可能性を低下させることが可能です。
ただしタミフルの予防効果は服用期間中のみに限られ、服用をやめると持続しません。
- Q
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- Q
タミフルは何日で効く薬ですか?
- A
服用を開始してから1〜2日ほどで熱が下がり始めることが多いと報告されています。
ただしウイルスが増殖した後にタミフルを服用しても、十分な効果は期待できません。
発熱などの症状が現れてから、48時間以内に飲み始める必要があります。
- Q
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- Q
タミフルを途中でやめたらどうなりますか?
- A
タミフルの服用を途中で中止すると、体内に残ったウイルスが再び増殖してしまい、症状が再発する恐れがあります。
またウイルスを完全に排除できず、家族など周囲への感染を広げるリスクもあります。
症状が落ち着いても自己判断で服用をやめず、処方された期間を最後まで飲み切ることが大切です。
- Q
-
- Q
タミフルと飲み合わせの悪いものはありますか?
- A
タミフルは多くの医薬品と併用が可能ですが、一部飲み合わせが悪い医薬品があります。
ワルファリン(抗血栓薬)や経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(生ワクチン)は、相互作用が確認されているため注意が必要です。
また服用中の医薬品やサプリメントがある場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
- Q
-
- Q
ワクチンとタミフルの予防投与は併用できますか?
- A
はい、併用可能です。
ワクチンは発症・重症化を防ぐ効果があり、タミフルは即効的な予防効果があるため、状況に応じて併用が推奨されることもあります。
通常のワクチン接種(不活化ワクチン)は問題ありませんが、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(生ワクチン)を選択する場合は、併用について医師にご確認ください。
- Q
参考サイト
この記事の監修
(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務



タミフルの予防効果を得るためには、感染者との接触48時間以内の投与が推奨されます。そのため、濃厚接触があった場合はできるだけ早く対応しましょう。