イソトロインは、重度のニキビ治療において非常に強力な効果を持つ内服薬です。
通常の治療では改善がみられないニキビに効果が期待でき、長年悩み続けたニキビ肌に終止符を打てる可能性があります。
しかし、抗生物質など標準的なニキビ薬に比べて効き目が強いため、慎重な管理が必要であり、副作用や服用上の注意点についても十分な理解が求められます。
本ページでは、イソトロインの効果や副作用、注意点などに加え、通販(個人輸入)で購入する危険性についても詳しく解説しています。
リスクを最小限に抑えつつ重いニキビ症状を改善するためにも、まずはイソトロインについて正しい知識を深めていきましょう。
イソトロインとは
イソトロインとは、重症・難治性ニキビの切り札とされる「アキュテイン(ロアキュテイン)」のジェネリック医薬品です。
インドの製薬メーカーであるCipla社が製造・販売を行なっており、有効成分はビタミンA誘導体である「イソトレチノイン」です。
イソトレチノインは皮脂の分泌を抑える作用があるため、ニキビの原因であるアクネ菌が増殖するのを抑えることができます。
他のニキビ治療薬にはない強力な効果を持つため、欧米などのガイドラインでも治療の選択肢のない重症ニキビの治療において強く推奨されています。
また広範囲にわたって、できては消えてを繰り返すニキビに対しても使用が推奨されています。
イソトロインの効果
イソトロインは、皮脂腺の働きを抑制することでニキビの根本的な原因にアプローチします。
この薬の主な効果は皮脂腺の縮小にあり、皮脂分泌がコントロールされると、それをエサとするアクネ菌の増殖も抑えられます。
アクネ菌の増殖するきっかけを断ち切るため、イソトロインは長年ニキビの再発を繰り返しているケースにも効果的です。
また効果がいつから出るのかについては個人差がありますが、一般的な目安として以下の一般的な治療の目安は以下となります。
↓
1〜2ヶ月:ニキビの改善がされはじめる
↓
3〜6ヶ月で治療完了
人によってはニキビが一時的に悪化することがありますが、この現象は「好転反応」と呼ばれる肌が生まれ変わっているサインです。
治療を続けることで徐々に肌の状態は改善していくため、イソトロインの服用を続けることが重要となります。
イソトロインの服用方法
イソトロインは、0.5mg〜1mg/kgを1日1回、または2回に分け、食後に服用します。
体重ごとの1日の服用量については、以下が目安になりますが、欧米のガイドラインの内容を基に記載しています。
日本人の1日の服用量は20mg~40mgで始めることが一般的です。
体重 | 0.5mg/kg | 1mg/kg |
---|---|---|
40kg | 20mg | 40mg |
50kg | 25mg | 50mg |
60kg | 30mg | 60mg |
70kg | 35mg | 70mg |
80kg | 40mg | 80mg |
90kg | 45mg | 90mg |
100kg | 50mg | 100mg |
イソトロインは1日1~2回の服用となるので、万が一服用を忘れてしまった場合、その分はスキップしてください。
次回の服用でまとめて服用することはできず、副作用リスクが高まることもあるのでお控えください。
イソトロイン服用中の注意事項
イソトロイン服用中の注意事項は、以下をご参考ください。
◾️好転反応が起こる場合がある
服用1〜2週間で、人によっては「好転反応」という現象が起こります。一時的にニキビが悪化しますが、肌が生まれ変わろうとする良い兆候です。肌のターンオーバーが進んでいるので、自己判断で治療を中止せずに続けるようにしてください。
◾️乾燥しやすくなる
イソトロインは皮脂の分泌を抑えるため、全身が乾燥しやすくなります。ニキビ以外の肌トラブルを防ぐためにも、朝・晩だけでなく日中も保湿ケアを欠かさず行なってください。
◾️避妊をする
イソトロインによる治療の1ヶ月前・治療中・治療1ヶ月後は、必ず避妊を行なってください。有効成分イソトレチノインは、少量かつ短期間でも、胎児の命に関わるような先天異常を引き起こすリスクがあります。避妊を忘れてしまったり、避妊具のアクシデントなどが起きた際は服用を中止して医師にご相談ください。
◾️献血を受けない
避妊と同様、血中に有効成分イソトレチノインが残っていると、妊娠している女性への輸血により胎児に重いリスクが及ぶ可能性が非常に高まります。イソトロイン服用中だけでなく、治療後1ヶ月間も献血を受けないようにしてください。
◾️美容治療を控える
イソトロインによる治療中および治療中止6ヶ月間は、肌の刺激、ピーリング効果がある美容施術は避けてください。ワックス脱毛、ピーリング、レーザー治療などの影響により、肌に瘢痕(傷跡)が残る可能性があります。
◾️紫外線対策を行う
イソトロインにより、光に対して肌が敏感になることがあります。直射日光や長時間の外出は避けるためにも、日傘や日焼け止めなど十分な紫外線対策を行なってください。
◾️夜間の視力低下・ドライアイに注意する
イソトロインの服用により、夜間の視力低下やドライアイが報告されています。こうした症状は視界がぼやけることもあるので、夜間の車の運転や危険を伴う作業はできる限り控えてください。
イソトロインを服用できない方
持病や体質などの健康状態や使用中の薬などによっては、イソトロインの服用がリスクに直結する可能性があります。
そのため、以下に該当する方はイソトロインの服用はできません。
- 妊娠している方
- 授乳中の方
- 妊活中の方(男女ともに)
- ビタミンAまたはそれに類似する成分にアレルギーを持つ方
- 精神疾患(うつ病など)の既往歴がある方
また、肝機能や血中脂質に異常が認められている方は慎重な服用が求められるため、医師によってはイソトロインの服用はできないと判断する場合もあります。
イソトロインの副作用
イソトロインの副作用としてみられやすいのが、「乾燥」です。
皮膚をはじめ口・鼻・目などの粘膜が乾燥し、乾燥が進みすぎてしまうと肌のツッパリ感なども生じてきます。
その他にも副作用としてあげられるのが、以下のような症状です。
- 胎児の先天異常
- 流産、早産、死産
- 重い精神症状(うつ、自殺企図・自殺念慮など)
- 頭痛
- 目のかすみ
- めまい
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
- 脱毛
- 鼻血
- 筋力低下
など
また稀ではあるものの、イソトロインの重い副作用が現れてしまうこともあります。
上記以外に気になる症状や、いつもと異なる違和感を感じた場合には、すぐ医師にご相談ください。
イソトロインの併用禁忌薬
イソトロインの併用禁忌薬とは、飲み合わせの都合上、一緒に服用できない薬を指します。
以下の薬との併用は禁止されており、疾患を招いたり、副作用が起きてしまうのでお控えください。
◾️テトラサイクリン系の抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)
頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)という疾患の関連の一部に、テトラサイクリン系抗生物質の併用が関わっていることがわかっています。
◾️サプリメントを含むビタミンA関連の薬
イソトロインの有効成分イソトレチノインはビタミンAの一種となり、サプリメントを含むビタミンA関連の薬との併用は副作用のリスクが高まります。
それぞれの薬は種類も多いので、イソトロインの服用中に追加で必要になった薬やサプリメントがあれば医師に申し出るようにしてください。
イソトロインの併用注意薬
イソトロインとの飲み合わせを慎重に判断が必要な併用注意薬には、以下の薬があげられます。
◾️フェニトイン
イソトロインの副作用として「骨密度の低下」があり、フェニトインも骨に痛みが出る「骨軟化症」を引き起こすことがあります。相互作用については正式な臨床試験が行われていないので、自己判断による併用はお控えください。
◾️全身性コルチコステロイド
全身性コルチコステロイドは「骨粗鬆症」を引き起こすことがあり、同様に相互作用については正式な臨床試験は行われていません。併用が骨に影響するリスクがあるので、自己判断での併用はお控えください。
◾️一部の抗てんかん薬
カルバマゼピンなど一部の抗てんかん薬は、薬の代謝を早めてしまうことがあります。イソトロインの効果が十分に発揮されなくなる可能性があるので、必要に応じて医師にご相談ください。
イソトロイン(イソトレチノイン)の種類
イソトロインは、アキュテインやロアキュテインのジェネリック医薬品になります。
先発薬が2種類あるのは、アメリカではアキュテイン、ヨーロッパではロアキュテインと、国によって呼び方が異なるためです。
また、イソトロインをはじめ、海外ではさまざまなメーカーからジェネリックが登場しています。
商品名 | 有効成分 | 用量 |
---|---|---|
イソトロイン | イソトレチノイン | 10mg/20mg/30mg |
ソトレット | イソトレチノイン | 20mg/40mg |
アムネルティーム | イソトレチノイン | 10mg/20mg/40mg |
クララビス | イソトレチノイン | 10mg/20mg/40mg |
アクノティン | イソトレチノイン | 10mg/20mg |
有効成分自体に違いはないため、いずれも有効性や安全性は同等と考えられています。
そのため、ジェネリックの大きな特長の1つでもあるコストで選んでみると、治療継続の負担を軽減することにもつながります。
イソトロインの通販(個人輸入)購入は危険
イソトロインは海外製のため、通販(個人輸入)で購入することが可能です。
しかし、通販の利用にはさまざまなリスクが潜んでいます。
◾️処方箋が必要
個人輸入でも医師の処方箋が必要で、診察を受ける必要があります。
◾️偽造品のリスク
偽物や品質の劣る製品を購入するおそれがあり、予想できない健康被害のリスクがあります。
◾️健康状態の管理
効果が強い分、用法用量や副作用、飲み合わせの管理が欠かせません。
◾️配送の遅延
輸入手続きによる配送遅延やカントリーリスクなどの影響で、商品が手元に届くまでに時間がかかることがあります。
購入・使用には医薬品に関するさまざまな専門的な知識が必要になり、リスクを踏まえると一般人が自己管理することは難しいです。
通販(個人輸入)は便利さゆえのデメリットが多くあるため、自己判断で安易に利用するのはお控えください。
イソトロインはどこで売ってる?
イソトロインは、市販薬としては購入できません。
この薬は非常に強力な効果を持つため、処方経験が豊富な医師の診断を受けてからの処方が必要になるからです。
身近なドラッグストアや薬局で手軽に入手することはできず、「Amazon」や「楽天」といったネットショッピングでも取り扱いは禁止されています。
イソトロインを購入したい場合、国内外の治療を取り扱う美容皮膚科(クリニック)での処方となることは覚えておきましょう。
まとめ:イソトレチノインは医療機関を受診して処方してもらおう
イソトロインは、これまで様々なニキビ治療で改善が見られなかった方や繰り返してしまうニキビ、重症のニキビに対して、高い効果が期待できる治療薬です。
副作用や注意点も多いため、医師の診察を受けてから服用しましょう。
通販での購入は、偽造薬のリスクや届くまで時間がかかることなどから推奨していません。
ニキビでお悩みの方やイソトレチノインが気になる方は、医療機関にご相談ください。
イソトロインに関するよくある質問
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- Q
イソトロインの購入方法は?
- A
日本国内でイソトロインを購入するには、医師の診断と処方が必要です。
オンライン診療で好きな時間に診察を受け、イソトロインの購入ができるので、重度のニキビの悩みは医師にご相談ください。
なお、イソトロインは市販薬ではないため、薬局・薬店での購入や普段から利用するネットショッピングなどでも販売は行われていません。
- Q
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- Q
イソトロインは服用を始めてどれくらいで効果が出ますか?
- A
イソトロインの効果が出始めるまでには個人差があります。
一般的には服用開始から2〜4週間ほどで皮脂の分泌が減少し、1〜2ヶ月でニキビの改善を実感しはじめることが多いです。
再発リスクも踏まえて、通常は3〜6ヶ月が治療期間と考えられています。
- Q
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- Q
イソトロインは毛穴への効果はありますか?
- A
イソトロインは皮脂腺の働きを抑え、毛穴を縮小させる効果があります。 皮脂分泌が減ることで毛穴の詰まりを防ぎ、アクネ菌の増殖を抑えることができるため、毛穴に関連するニキビ症状の改善が期待できます。
- Q
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- Q
未成年でも服用できますか?
- A
日本でイソトロインは未承認薬のため、正確に何歳から服用できるかは定められていません。
欧米のガイドラインでは12歳以上からの服用が可能とされていますが、骨の発達に影響が出る可能性があるため、基本的には18歳以上からの服用が推奨されています。
未成年の場合でもニキビの状態によっては服用が認められるケースがありますので、必ず医師と相談の上で決定する必要があります。
- Q