アクネトレントの効果・副作用と併用禁忌や好転反応について解説

更新日:2024/12/18
アクネトレントの効果と副作用について解説

アクネトレント(イソトレチノイン)は、通常の治療では効果がみられない重度・難治性ニキビの切り札とも言われる内服薬です。
炎症や化膿を伴うニキビが広範囲に及んでいる場合にも高い効果が認められており、まさにニキビ治療の救世主的な存在です。

ニキビを改善する高い効果が期待できるアクネトレントですが、副作用や併用禁忌、好転反応などについて服用前に理解しておくことが大切です。
本ページでは、アクネトレントについて詳しく解説し、重症ニキビや何度も再発するニキビに悩まされている方が安心して治療に取り組めるようにサポートします。

イソトレチノインについて

アクネトレントとは

アクネトレントとは

アクネトレントとはビタミンA誘導体の一種である「イソトレチノイン」を主成分とした内服薬です。
肌のターンオーバーを促進し、根本的な原因である皮脂腺の働きを抑制します。
以下のニキビでお悩みの方に特に高い効果が期待できます。

  • 中等症~重症・難治性のニキビ
  • 一度治ってもすぐに再発を繰り返すニキビ
  • 一般皮膚科の薬や市販薬では改善しないニキビ

日本ではイソトレチノインは未承認薬ですが、米国や欧州のニキビ治療のガイドラインではニキビの標準治療の1つとして長年にわたって使われています。

アクネトレントはこれまで色々な治療をしても治らなかった、長年のニキビの悩みを解決できる可能性を持つ治療薬です。

アクネトレントの効果

アクネトレントの効果

アクネトレントは、根本的な原因にアプローチしてニキビ改善に高い効果を発揮します。

【アクネトレントの効果】

◾️皮脂分泌の抑制
アクネ菌のエサとなる皮脂が分泌される「皮脂腺」を縮小させ、過剰な皮脂分泌を抑制する効果があります。この結果、毛穴が詰まりにくくなり、ニキビの発生と悪化を抑えることが期待できます。

◾️抗炎症作用
アクネ菌の増殖に伴って起こる免疫反応を抑えることで炎症の進行を防ぎ、赤みや腫れなどのニキビ症状を軽減する効果があります。そのため、ニキビのこれ以上の悪化を防ぎながら肌の状態を改善していきます。

アクネトレントにより、アクネ菌が増殖しにくい環境へと整えられ、肌のコンディションを維持することが可能です。
また、新しいニキビの発生を防ぐこともできるため、悪化予防だけではなく再発を抑制する観点からも効果的な治療薬です。

海外の臨床試験では、患者の81%でニキビが90%減少し、治療20週後には88.9%の方が治療に成功したというデータもあるほどです。

アクネトレントの適応と推奨する方

アクネトレントを使ったニキビ治療の適応と推奨される方は、以下のとおりです。

  • 長期的に再発を繰り返す方
  • 従来のニキビ治療で効果が得られなかった方
  • 顔にたくさんのニキビが広がっている方
  • 年単位で長期的にニキビの再発防止を目指したい方

抗菌・抗炎症作用のある成分を含んだ内服薬や外用薬といった、一般皮膚科のニキビ治療で改善が見られない方、再発に悩まされている方に対して有効な治療薬です。

なお、重度ニキビの判断基準ですが、日本皮膚科学会のガイドラインでは「片顔に炎症性皮疹(ニキビ)が21個以上」となっています。
そのため、たまにできる軽症のニキビには向かない治療薬です。

アクネトレントを服用できない方

アクネトレントは、以下のような方の服用はできません。

【アクネトレントを服用できない方】
  • 妊娠している方
  • 授乳中の方
  • 妊活中の方(女性・男性ともに)
  • ビタミンAまたはそれに類似する成分にアレルギーを持つ方
  • 精神疾患(うつ病など)の既往歴がある
  • 大豆アレルギーの方(大豆油が含まれているため)
  • 15歳未満の方や成長期で身長が伸びている方

また禁忌ではありませんが、肝機能や血中脂質に異常が認められている方なども、医師の判断によってはアクネトレントを服用できないことがあります。

アクネトレントの服用方法と服用量

アクネトレントは0.5mg〜1mg/kg/日を1~2回に分けて食事の有無にかかわらず服用します。
体重ごとの1日の服用量については、以下が目安になりますが、欧米のガイドラインの内容を基に記載しています。
日本人の1日の服用量は20mg~40mgで始めることが一般的です。
体幹(背中など)に症状が現れている場合や薬への反応によって、医師の判断で増減の調整をします。

1日の総投与量

体重 0.5mg/kg 1mg/kg
40kg 20mg 40mg
50kg 25mg 50mg
60kg 30mg 60mg
70kg 35mg 70mg
80kg 40mg 80mg
90kg 45mg 90mg
100kg 50mg 100mg

飲むタイミングを逃してしまった場合は服用をスキップし、次回の服用で2回分を同時に服用することはできません。

アクネトレント服用中の注意事項

アクネトレント服用中の注意事項は、以下をご参考ください。

【アクネトレント服用中の注意事項】

◾️好転反応が起こる場合がある
アクネトレントの服用開始から1〜2週間は、一時的に症状が悪化する「好転反応」がみられることがあります。肌が生まれ変わろうとしているサインなので、自然と落ち着くまで焦らず治療を続けるようにしてください。

◾️避妊をする
有効成分イソトレチノインは、少量かつ短期間であっても、胎児が重い先天異常を引き起こす可能性があります。治療の1ヶ月前・治療中・治療1ヶ月後に避妊せずに性行為を行なった場合には服用を中止して医師にご相談ください。

◾️献血をしない
妊娠女性への輸血によって、胎児の命に関わるような悪影響が及ぶリスクが非常に高まります。アクネトレントの服用中はもちろん、治療後1ヶ月間は献血を受けないようにしてください。

◾️美容治療は控える
アクネトレントによる治療中および治療中止6ヶ月間は、ワックス脱毛、ピーリング、レーザー治療などの美容治療は控えてください。これらの治療の影響により瘢痕(傷跡)が残る可能性があります。

◾️紫外線対策をする
アクネトレントの服用により、肌が光に対して敏感になることがあります。できるだけ直射日光や長時間の外出は避け、紫外線対策も十分に行なってください。

◾️夜間の視力低下・ドライアイに注意する
アクネトレントの服用中に、夜間の視力低下が報告されています。夜間の車の運転や危険を伴う作業はできる限り控えてください。またドライアイの報告もあるため、治療中や治療後にコンタクトレンズの装着に問題が生じる可能性があります。

アクネトレントの副作用

アクネトレントの副作用

アクネトレントの副作用はさまざまですが、代表的なのが「乾燥」です。
皮膚をはじめ口・鼻・目・頭皮などの粘膜が乾燥し、こうした症状は服用した方の多くにみられます。
その他の副作用としてあげられるのが、以下のような症状です。

【アクネトレントの副作用】
  • 胎児の先天異常
  • 流産、早産、死産
  • 重い精神症状(うつ、自殺企図・念慮など)
  • 頭痛
  • 目のかすみ
  • めまい
  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢
  • 脱毛
  • 鼻血
  • 筋力低下
など

重い副作用を起こすこともあるので、いつもと異なる症状や悪化していると感じられる場合には医師にご相談ください。

アクネトレントの併用禁忌薬

アクネトレントは他の病気との関連性や副作用のリスクから、以下を併用禁忌薬としています。

【アクネトレントの併用禁忌薬】

◾️テトラサイクリン系の抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)
有効成分イソトレチノインは、頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)との関連の一部にテトラサイクリン系抗生物質の併用が関与しています。そのため、飲み合わせが悪い薬として併用が禁止されています。

◾️サプリメントを含むビタミンA関連の薬
有効成分イソトレチノインはビタミンAの一種です。サプリメントを含むビタミンA関連の薬との併用により、ビタミンA関連の副作用を引き起こす可能性があるので併用は控えてください。

アクネトレントの併用注意薬

アクネトレントを併用するにあたり、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。

【アクネトレントの併用注意薬】

◾️フェニトイン
フェニトインは骨軟化症を引き起こすことがあり、アクネトレントも副作用として「骨密度の低下」がみられる場合があります。相互作用について正式な臨床試験は行われていませんが、併用する場合には注意が必要です。

◾️全身性コルチコステロイド
全身性コルチコステロイドは骨粗鬆症を引き起こすことがあり、アクネトレントも副作用として「骨密度の低下」がみられる場合があります。相互作用について正式な臨床試験は行われていませんが、併用する場合には注意が必要です。

◾️一部の抗てんかん薬
カルバマゼピンなど一部の抗てんかん薬は代謝を促進してしまい、アクネトレントの効果を低下させる可能性があります。併用する際は医師にご相談ください。

まとめ:アクネトレントを服用する際は医療機関を受診しよう

アクネトレントは、皮脂の分泌を抑え、炎症を鎮めることで、ニキビの根本的な原因にアプローチする内服薬です。従来の治療法では改善が見られなかったニキビや中等症~重症ニキビに対して、高い効果が期待できます。
ただし、副作用や注意点も存在するため、医師の指示のもとで正しく服用することが大切です。
イソトレチノインによるニキビ治療を始めたい方は医療機関を受診ください。

アクネトレントに関するよくある質問

  • Q
    アクネトレントとロアキュタンの違いは何ですか?
    A
    アクネトレントとロアキュタンの違いは、製薬会社の商品名の呼び方が違うことによります。アクネトレントはトルコのレコルダティ社の商品で、ロアキュタンはスイスのロシュ社の商品です。
    ロアキュタンは先発薬で、アクネトレントはジェネリック医薬品ですが、いずれの製品も同じ有効成分が配合されているため、ニキビ治療に対しての有効性や安全性は変わりません。
  • Q
    アクネトレントはどれくらい飲み続けると効果がありますか?
    A
    アクネトレント(イソトレチノイン)の効果は、通常15~20週間の服用で現れます。
    治療初期には「好転反応」といって一時的にニキビが悪化することもありますが、これは肌が生まれ変わっているサインです。
    治療を続けていくことで徐々にニキビが改善されてくるので、特別な理由がない限りは治療を継続するようにしてください。
  • Q
    アクネトレントは国内で認可されていますか?
    A
    アクネトレントは、国内では未承認の医薬品です。
    そのため一般的な病院や薬局で処方することはできません。
    もし処方を希望される場合は、国内外のさまざまな治療を取り揃える美容皮膚科にご相談ください。
イソトレチノインについて
未承認医薬品等であることの明示 イソトレチノインは日本国内では未承認医薬品となります。
入手経路等の明示 厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断により輸入しています。
国内の承認医薬品等の有無の明示 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
  • FDA(米国食品医薬品局)など諸外国において承認されています。
  • 胎児の催奇形性、鬱、肝機能障害、皮膚や粘膜の乾燥などの副作用のリスクがあります。
  • 妊娠中の方・授乳中の方は使用できません。
医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、日本国における医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
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