アレルギー性結膜炎とは - 目のかゆみの症状や原因を解説

更新日:2025/12/22
アレルギー性結膜炎とは - 目のかゆみの症状や原因を解説

アレルギー性結膜炎とは、花粉やハウスダストなどが原因で起こる目の炎症です。
主に、目のかゆみや充血、涙が止まらないといった症状が現れます。

春や秋の花粉シーズンに発症しやすく、花粉症(季節性アレルギー)の症状として知られています。
症状は一時的なものから慢性的なものまであり、放置すると角膜に炎症が広がる場合もみられます。

アレルギー性結膜炎の原因や症状を理解し、早めに適切な対処を行うことが、症状の軽減につながります。

花粉症の症状については以下よりご確認ください。 花粉症の症状について

アレルギー性結膜炎の主な症状

アレルギー性結膜炎の主な症状は以下のとおりです。

症状 症状の内容
目のかゆみ 最も多い症状で、掻くことでさらに炎症が強まる。
充血 結膜の血管が拡張し、白目が赤く見える。
涙が止まらない 涙液の分泌が増え、視界がにじむことがある。
ゴロゴロ感(異物感) 結膜の腫れや分泌物により、まぶたの裏側に異物を感じる。
目やに アレルギー反応により、白っぽい糸状の分泌物が出ることがある。

症状の程度は個人差がありますが、かゆみが強いと無意識に目をこすってしまい、結膜や角膜を傷つけて炎症が悪化する恐れがあります。

さらに、炎症が長期間続くと角膜上皮障害や視力低下を引き起こすこともあるため、早期の対処が重要です。

アレルギー性と感染性の結膜炎の違い

結膜炎には、アレルギーが原因で起こるものと、ウイルスや細菌などの感染によって生じるものの2つのタイプがあります。

どちらも目の充血や不快感を伴いますが、症状の現れ方や対処法に違いが見られます。

アレルギー性
結膜炎
感染性結膜炎
主な原因 花粉、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲン ウイルス、細菌
主な症状 目のかゆみ、充血、涙目など 目の痛み、充血、黄色い目やになど
感染の
有無
無し 有り(接触や飛沫で感染)
対処法 抗アレルギー点眼薬やアレルゲン除去 眼科で原因に応じた治療

感染性結膜炎は自己判断で市販薬を使用すると悪化することがあるため、疑わしい場合は早めに眼科を受診しましょう。

アレルギー性結膜炎の原因

アレルギー性結膜炎の原因

アレルギー性結膜炎の主な原因は、花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)、ダニ、ハウスダスト(カビ、ホコリ)、ペットの毛などのアレルゲンです。

アレルゲンが目に付着することで、免疫反応による炎症が起こります。

免疫が過敏に反応すると、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。
これが神経や血管を刺激することで、目のかゆみや充血といった症状が現れます。

季節性
アレルギー
(花粉症)
花粉(スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサなど)が代表的で、春や秋に症状が強く現れる場合があります。
通年性
アレルギー
ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、カビなどが原因で、年間を通して症状がみられるのが特徴です。

※反応するアレルゲンや症状の強さに個人差があります

この他にコンタクトレンズの汚れや保存液の成分が刺激となり、アレルギー性結膜炎を引き起こすこともあります。

加えて季節性アレルギーと通年性アレルギーを併発する場合があり、重なる時期は症状が悪化しやすいのも特徴です。

このため、原因を正確に特定し、アレルゲンとの接触を減らすことが症状緩和の第一歩と言えます。

目がかゆい場合の注意点(やってはいけないこと)

アレルギー性結膜炎による目のかゆみは、多くの場合アレルゲンに対する免疫反応によって起こります。
かゆみが強いとつい目をこすりたくなりますが、誤った対処をすると炎症が悪化する恐れがあります。

以下の注意点を守り、症状を悪化させないようにしましょう。

目がかゆくてもやってはいけない注意点
目をゴシゴシこすらない こすることで結膜や角膜が傷つき、さらにアレルギー反応が強くなる場合がある。
コンタクトレンズを装用したままにしない 汚れや花粉などが付着すると、症状を強める原因になる。
目を触る前に手を洗う 花粉やダニなどのアレルゲンが手に付着していると、症状を助長することがある。
放置しない 症状が軽くても、放置すると慢性化や角膜炎につながることがある。

目のかゆみに今すぐできるセルフケア

アレルギー性結膜炎による目のかゆみは、生活環境を整えることで自宅でもケアが可能です。
今すぐできるセルフケアとして以下のものがあります。

次項では、目のかゆみに今すぐできるセルフケアを紹介します。

花粉を目に入れないための対策

花粉の季節に目のかゆみを悪化させないためには、花粉が目の粘膜に付着しないように工夫することが大切です。

マスク・メガネ・帽子 花粉を払い落す
マスク・メガネ・帽子
外出時は花粉の侵入を防ぐため、密着型の眼鏡やマスクを着用。
コンタクトレンズを使用している場合は、花粉が付着しやすいため、眼鏡に切り替えるのも有効。
花粉を払い落す
帰宅後は顔や髪をしっかり洗い、衣服に付着した花粉を払い落とす。
室内に花粉を持ち込まないために、玄関で上着を脱ぎ、洗濯物の部屋干しも検討。

日常生活での小さな工夫を積み重ねることで、花粉による目のかゆみや炎症を防ぎやすくなります。

洗眼・冷却の正しい方法

花粉やほこりなどのアレルゲンを目から取り除くためには、正しい方法で洗眼や冷却を行うことが大切です。
人工涙液を使って目をやさしく洗い流すと、付着した花粉や分泌物を減らすことができます。

また、かゆみや炎症が強いときは、清潔なタオルを冷水で冷やし、まぶたの上に数分あてると症状が落ち着きやすくなります。
このとき、目をこすらずにやさしく冷却することがポイントです。

冷却や洗眼を適切に行うことで、花粉やアレルギーによる不快感を和らげ、症状の悪化を防ぐことができます。

※洗いすぎはドライアイの原因となる可能性があるため、ご注意ください。
※水道水での洗眼は基本的に推奨していません。
※洗眼薬の使いすぎは、目の保護機能低下に繋がるため注意が必要です。

コンタクトを使う場合の注意点

花粉症の時期は、コンタクトレンズの使用によって症状が悪化することがあります。
これは、花粉やアレルゲンがレンズ表面に付着し、目のかゆみや充血を引き起こすためです。

花粉が飛散する時期は眼鏡に切り替えるか、使い捨てタイプのコンタクトレンズを短時間のみ使用することが推奨されます。

また、レンズを装用する場合は、必ず清潔な手で扱い、こまめに交換しましょう。

症状があるときはレンズ装用を避け、無理に使用しないことが重要です。

アレルギー性結膜炎の初期療法(シーズン前の備えが効果的)

アレルギー性結膜炎は、症状が出る前から対策を始めることで、発症後の不快感を大幅に軽減できる場合があります
これは、アレルゲンに対する体の過剰反応を早い段階で抑える、初期療法による効果です。

目安として花粉が飛び始める2週間ほど前から治療を開始すると、かゆみや充血などの症状が軽減されることが報告されています。
少しでも目のかゆみや違和感を感じたら早めに受診し、医師の指導のもとで適切な治療を受けることが大切です。

アレルギー性結膜炎に投与される点眼薬の種類

アレルギー性結膜炎に投与される点眼薬
抗アレルギー薬
  • 抗ヒスタミン薬
    エピナスチン点眼薬 など
  • メディエーター遊離抑制薬
    アレギサール など
ステロイド
点眼薬
フルメトロン点眼液 など
免疫抑制
点眼薬
シクロスポリン
タクロリムス製剤 など

かゆみや炎症を抑える抗アレルギー点眼薬を中心に、必要に応じて薬の変更や複数を組み合わせた治療が一般的です。

花粉症の場合は目のかゆみに加え、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状も伴うことがあります。
その際は、点鼻薬や内服薬と組み合わせて投与することで、症状の緩和が期待できます。

市販薬と医療用医薬品の違い

アレルギー性結膜炎の治療に使われる目薬には、市販薬と医療用医薬品の2種類があります。
どちらもかゆみや充血を抑える効果が期待できますが、含まれている有効成分の種類や量が異なります

市販薬は一般の薬局で購入でき、効果が穏やかな成分が配合されているため、軽い症状のケアにおすすめです。

一方、医療用医薬品は有効成分の濃度が高く、医師の診断に基づいて処方され、炎症やアレルギー反応をより効果的に抑えることができます。

アレルギー性結膜炎は早期治療や予防で対処

アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で起こる目の炎症です。
放置すると炎症が長引き、角膜に傷がつく恐れがあるため、早期に適切な治療を行うことが大切です。

日常生活では、花粉やほこりを避ける工夫、洗眼や冷却などのケアを意識することが予防につながります。

症状が軽いうちはセルフケアで緩和できる場合もありますが、かゆみや充血が続く場合は眼科を受診し、医師の指導のもとで治療を進めましょう。

アレルギー性結膜炎によくある質問

  • Q
    目がかゆいだけで受診しても大丈夫ですか?
    A
    目のかゆみだけでも受診して問題ありません。
    目のかゆみはアレルギー性結膜炎の初期症状としてよく見られます。
    市販薬で一時的に落ち着いても、原因がわからないまま放置すると再発する場合があります。
  • Q
    症状が出る前から点眼薬を使ってもいいですか?
    A
    医師の指導のもとであれば、症状が出る前から使用することが可能です。
    アレルギー性結膜炎では、花粉の飛散前などに抗アレルギー点眼薬を使う初期療法が有効とされています。
    初期療法は症状の発現を遅らせ、症状を軽く抑える効果が期待できる治療法です。
    ただし、自己判断での使用は避け、必ず医師に相談のうえで点眼を開始してください。
  • Q
    目のかゆみがある場合はコンタクトはしない方がいいですか?
    A
    症状があるときは、コンタクトレンズの使用を控えましょう。
    アレルギー反応によって炎症が起きている状態では、レンズに花粉や汚れが付着しやすく、かゆみや痛みを悪化させる恐れがあります。
    症状が落ち着くまでは眼鏡を使用し、再開のタイミングは医師に相談すると良いでしょう。
  • Q
    去年の薬が残っているので、使っても大丈夫ですか?
    A
    開封済みの点眼薬は使用しないでください。
    点眼薬は開封後に成分が変質したり、容器内で細菌が繁殖したりすることがあります。
    使用期限内であっても、前年に開封したものは雑菌が混入している可能性があり、感染や炎症を引き起こす危険性があります。
    症状が出た場合は再度受診し、新しい治療薬を処方してもらうようにしましょう。

参考サイト

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この記事の監修

服部圭太院長画像
服部 圭太
(はっとり けいた)医師

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務