女性のクラミジア感染の症状について‐おりものの異常や放置による不妊のリスク

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

このページでは、女性のクラミジアの症状について詳しく解説しています。
クラミジアは無症状の場合もありますが、感染が拡がり症状が悪化すれば不妊症や他の病気のきっかけになる可能性のある病気です。
感染の疑いがあれば、早期発見・早期治療に活かしてみてください。

クラミジアの症状について 性病の治療について

クラミジアは、男女で性器のつくりが違う分、症状も感染経路も男女で異なります。
まずは、女性のクラミジアについての基本情報を確認しましょう。

女性のクラミジア感染の多くが、無症状または軽度な症状だと言われています。
女性の無症状感染の割合はおよそ80%にもなります。
感染して症状が現われた場合でも、症状は軽度なものでそのままにされるか他の症状と間違われる場合があります。
そのため、放置され症状が悪化するリスクが高くなる特徴があります。

女性のクラミジア感染の症状については以下で解説していきます。

女性のクラミジア感染で初期に最もよく見られる症状の一つに「おりものの異常」があります。
悪臭や量の増加が見られ、初期の状態は水っぽいが、進行すると白濁〜黄緑色などになり、粘性が出るなどの変化が表れます。

これらの症状はクラミジアの感染後に多く見られる初期症状です。

自覚症状が軽くても、これらのサインを見逃さないことが重要ですので、違和感がある場合はすぐに検査を行いましょう。
おりものは月経周期や体調により変化するため、日頃からチェックをしておくことも大事です。

その他の症状には以下のものがあります。

男女共通のクラミジア感染の部位として性器の他に、のど（咽頭クラミジア）、直腸（肛門クラミジア）、目（クラミジア結膜炎）などがあります。

咽頭クラミジアは主にオーラルセックスによって感染し、喉の痛みや違和感を引き起こすことがあります。
肛門クラミジアはアナルセックスを通じて感染し、肛門のかゆみ、出血、痛みなどを伴うことがあります。
共に感染しても、無症状な場合が多い特徴があります。

現在国内ではあまり見られませんが、目への感染により起こるクラミジア結膜炎は、目の充血や腫れ、異物感、目やになどの症状が見られます。

いずれも初期症状を放置すると悪化する恐れがあるため、早期の検査と治療が大切です。

詳しくはこちらのページをご覧ください。 クラミジア感染の症状 咽頭クラミジアの症状や原因などについて

女性のクラミジア感染の拡がり

女性のクラミジア感染を放置すると、病原体の感染範囲が子宮頚管から卵管・卵巣、骨盤腔、肝臓へと拡がっていきます。

これは「上行感染」と呼ばれ、感染源から病原体が上方へ向かって伝播していく感染経路を指します。

感染の拡大により以下の症状が生じる可能性があります。

クラミジアによる炎症が卵管に及ぶと、癒着や狭窄、閉塞が起こり「卵管性不妊」と呼ばれる状態になります。
卵子と精子が出会う場所である卵管がふさがれてしまうため、自然妊娠が難しくなります。

受精卵ができた場合でも、子宮内膜の炎症による着床障害によって妊娠しづらい状態になる恐れもあります。
これらの症状により、不妊症や子宮外妊娠のリスクが高まります。

またクラミジアの感染で子宮収縮を促す物質のプロスタグランジンが分泌され、陣痛を誘発してしまいます。
これにより妊娠初期だと流産、妊娠中期だと早産のリスクとなる場合があります。
妊娠中または妊娠の予定がある女性は感染に十分にご注意ください。

国内では不妊症の原因の1つとして、クラミジア感染が大きく関与していることが知られています。
実際、日本産婦人科医会によれば、不妊原因の20%は卵管因子と考えられており、感染者の多いクラミジアによる影響は大きいとされています。

卵管炎・卵巣炎の感染が骨盤内へと拡がった状態が、骨盤腹膜炎（PID）です。
感染による炎症がかなり拡がっている状態で、症状が強く出ることがあります。

また下腹部の痛みが虫垂炎や憩室炎といった消化器疾患の症状と似ているため、見分けるのが難しい側面もあります。
骨盤腹膜炎は重症化してしまうと、膿瘍（膿がたまった病変）ができたり、さらに進行すると敗血症のような命の危険もあります。

治療に時間を要したり、再発を繰り返すこともあるので要注意です。

骨盤内から感染が上腹部にまで達すると、菌が肝臓の表面で増殖してしまい肝周囲炎（フィッツ・ヒュー・カーティス症候群）を起こします。
かなり重症化したケースになり、主に以下の症状が見られます。

強い痛みが出るため、クラミジアとは思わず内科や外科などに受診するケースもあります。
しかもクラミジアの感染によるものと気づかれにくく、治療が遅れることで症状がさらに悪化することもあるので注意が必要です。

妊娠中にクラミジアに感染すると、胎児に感染する可能性があります。
万が一新生児に感染させてしまうと、以下の新生児疾患が発症する可能性があります。

このような病気を発症するおそれがあり、特に低出生体重児は重症化しやすく、失明や最悪のケースでは死にいたることもあります。

赤ちゃんに感染させないためには、妊娠30週目までにPCR法による感染症検査が推奨されています。 もし陽性であれば妊娠中であっても治療が可能なことから、必ず検査を受けるようにしてください。

クラミジア感染によって粘膜が傷つくと、HIVなどの他の性感染症にかかりやすくなるとされています。
女性の健康をトータルで考えるうえでも、早期対応が必要です。

女性に限らずクラミジアに一度感染すると、自然治癒することはありません。 症状が無くても放っておけば悪化し、将来の不妊リスクはもちろん、合併症を引き起こす可能性もあります。

適切な治療を受ければクラミジアは治る病気のため、性行為後に違和感などを感じれば必ず医師に相談するようにしましょう。 クラミジアの自然治癒について

女性のクラミジアの検査方法は通常、患部の分泌液を綿棒でぬぐい検体を採取します。

ちなみに、生理中は検査精度が落ちるため、生理が終わったタイミングで検査を受けるようにしてください。

検査の種類としては以下の2種類に分けられます。

ポピュラーなのはPCR法による精密検査です。
取り扱いの医療機関が多く、自宅でできる検査キットにも採用されています。
結果がわかるまで時間はかかりますが、行政に届け出をしている外部の専門機関（登録衛生検査所）が調べてくれるので安心です。

当院でもクラミジアの検査キットを販売しています。
こちらのセットは、クラミジアと同時感染することの多い淋病感染も確認することができます。

フィットクリニックの性病検査キット

以下のページでもクラミジアの検査について詳しく解説しています。 性病の検査について

検査により、膣内から菌が検出された10〜20%の人は、咽頭（のど）にも感染している可能性があるため、併せての検査がおすすめです。
※当院では咽頭クラミジアの検査は行っておりません。

女性のクラミジアは男性同様、抗生物質と呼ばれる飲み薬を用いて治療します。
フィットクリニックでは、ジスロマックジェネリック、またはクラビットを使いクラミジアを治療します。

フィットクリニックのクラミジア治療薬

ただし、必ずしも1度の治療で完治するというわけではないため、治療後2週間以上あけてから、必ず再検査を受けるようにしてください。
中途半端に服用してしまうと、"薬剤耐性"といって薬の効かない菌が生まれてしまう原因になります。
そのため、医師の指導のもと服用を行い、自己判断での服用はしないでください。

また、治癒確認の検査によって陰性と出れば完治となりますが、それまでは性行為やそれに準ずる行為などの性的な接触は控えましょう。 ジスロマック通販（オンライン診療）

クラミジアは国内でもっとも感染者数の多い性感染症であると同時に、20代への感染が圧倒的に多いという特徴があります。 クラミジアの症状について

女性の年齢別性器クラミジア感染報告数（定点あたり）

また「妊娠中のクラミジア感染に関する実態調査」の報告によれば、特に感染が多いとされる10代、20代前半の妊婦のクラミジア陽性率がとても高いことがわかっています。

40歳〜までを含めた全体の陽性率は2.3%になり、母親の感染が胎児や新生児にも影響してしまう可能性もあります。 クラミジアは身近な性感染症ではあるものの、このように感染が不妊だけでなく、妊娠後にも影響する怖い病気であることは覚えておきましょう。

感染のリスクが高い場合は定期的に検査し、早期発見・早期治療につなげていきましょう。

女性がクラミジアに感染しても、無症状や軽度な場合が多いです。

しかしクラミジアに感染した場合、自然に治ることはありません。
放置すると体内で感染が拡がり、症状に気づいた時にはかなり進行していたケースも珍しくありません。

女性がクラミジアに感染した場合、不妊の原因となることがあります。
また、クラミジア感染が原因で流産や早産のリスクを高めるため、定期的な検査を受け、早期発見・早期治療につなげていきましょう。 性病治療について