性病治療薬を病種別に解説 - 処方や選び方も紹介

更新日:2025/05/20
性病治療薬を病種別に解説 - 処方や選び方も紹介

このページでは、性病治療薬の選び方を病種ごとに紹介します。性病治療薬の効果、副作用、処方の仕方についても解説しています。
性病の薬が必要な方や選び方がわからない方はご参照ください。
なお、当院では以下の性病の薬を処方しております。

病名 薬名 処方数/
価格
クラミジア
マイコプラズマ
ウレアプラズマ
ジスロマックジェネリック 4錠 / 7,700円
クラビット 7錠 / 7,700円
性器ヘルペス バルトレックス
(先発薬・ジェネリック)
20錠 / 13,200円
10錠 / 7,700円
膣カンジダ オキナゾール膣錠 1錠 / 7,700円
オキナゾールクリーム 1本 / 7,700円
性病予防 ビブラマイシン 10錠 / 5,500円

性病治療について詳しくは以下のページをご覧ください。 性病治療について

性病治療薬の選び方

性病治療薬を選ぶ際のポイントは以下の通りです。

性病治療薬を選ぶ際のポイント
  • 感染症とその症状に合わせた薬を使うことが重要
  • 性病検査によって適切な性病治療薬を選ぶことができる
  • 症状はどれも似ているため、どの性病に感染しているか個人での判断は難しい
  • 間違った薬を選んだ場合は症状が長引き、重症化や感染拡大の可能性がある
  • ※フィットクリニックではクラミジア、マイコプラズマ、ウアレプラズマ、性器ヘルペス、カンジダ(女性・男性)の治療薬を処方

性病の特定には性病検査や検査キットを使用して行います。 検査キットに関しては自宅で検体を採取し郵送、後日WEBで検査結果を確認する、といったものがあります。 性病の症状について

【性病・病種別】の性病治療薬

性病の治療には、それぞれの病種に適応した薬を使うことが大切です。
具体的にはどのような薬を使うのか、病種別に解説します。
※妊娠中の方や健康上の不安がある方は、主治医や処方をする医師に伝えてください

クラミジアの薬

クラミジアの薬

当院で処方する薬 ジスロマックジェネリック 250mg
ジスロマックジェネリック
有効成分 アジスロマイシン
価格 7,700円 / 4錠
飲み方 4錠を1回経口投与する
当院で処方する薬 クラビット 500mg
有効成分 レボフロキサシン
価格 7,700円 / 7錠
飲み方 1日1錠を7日間経口投与する
クラミジアの代表的な症状

男性

  • 性器のかゆみ
  • 排尿痛
  • 尿道分泌液

女性

  • おりものの増加
  • 性器のかゆみ
  • 不正出血

など

ジスロマックは、マクロライド系の抗生物質(抗菌薬)です。
1回で高用量を飲み切ることで効果が約10日間続き、継続して服用する必要がないため飲み忘れの心配がないのが特徴です。
咽頭クラミジアに感染している場合にも1回の服用で治療することができます。

ジスロマックが使用できない場合でも、代替薬としてクラビットの処方を受けることができます。

性器ヘルペスの薬

性器ヘルペスの薬

当院で処方する薬 バルトレックス 500mg
バルトレックス 500mg
有効成分 バラシクロビル
価格 7,700円 / 10錠
13,200円 / 20錠
飲み方 1回1錠を1日2回経口投与する
性器ヘルペスの代表的な症状
  • 皮膚症状(びらん・水ぶくれ・潰瘍)
  • 発熱
  • だるさ
  • 疼痛
  • かゆみ

など

バルトレックスは、ヘルペスウイルスの増殖を抑える薬です。
病変に存在するウィルスの合成を阻害し増殖をストップさせることで、性器ヘルペスの諸症状の悪化を抑えて治癒を早めます。

ただし、現代の医療によってもウイルスを体内から完全に除去する方法はありません。
ストレスなど身体の抵抗力が弱ることで再発することがあるので、再発治療においても同じようにバルトレックスを使って症状をコントロールしていきます。

なお、バルトレックスは発症してからだけでなく、再発を抑えるためにも使われます。

マイコプラズマ・ウレアプラズマの薬

マイコプラズマ・ウレアプラズマの薬

当院で処方する薬 ジスロマックジェネリック 250mg
ジスロマックジェネリック
有効成分 アジスロマイシン
価格 7,700円 / 4錠
飲み方 4錠を1回経口投与する
当院で処方する薬 クラビット
有効成分 レボフロキサシン水和物
価格 7,700円 / 7錠
飲み方 1日1錠を7日間経口投与する
マイコプラズマ・ウレアプラズマ
の代表的な症状

男性

  • 尿道の痛み、かゆみ
  • 排尿痛
  • 尿道のうみ

女性

  • おりものの増加
  • 性器の痛み、かゆみ
  • 子宮頚部の炎症

など

マイコプラズマやウレアプラズマは、クラミジアと同じくマクロライド系の抗生物質で治療します。
1回に高用量を服用することで抗菌作用が1週間以上続き、血中で高い成分濃度を維持することで殺菌効果を強めることができます。

性病の原因となるマイコプラズマの菌には「マイコプラズマ・ジェニタリウム」や「マイコプラズマ・ホミニス」といった種類があり、この中には薬に耐性を持った菌も確認されています。
難治例も増えつつあるので、これ以上耐性菌を増やさないためにも医師に処方された薬は飲み切るようにしてください。

膣カンジダの薬

膣カンジダの薬

当院で処方する薬 オキナゾール膣錠 600mg
オキナゾール膣錠 オキナゾールクリーム 1% 10g
オキナゾールクリーム
有効成分 オキシコナゾール硝酸塩
価格 膣錠:7,700円 / 1錠
クリーム:7,700円 / 1本
飲み方 膣錠:1週間に1回膣内に挿入する
クリーム:1日2〜3回患部に塗布する
膣カンジダの代表的な症状

女性

  • カッテージチーズ状のおりもの
  • 性器のかゆみ、かぶれ
  • 灼熱感

など

※男性のカンジダの症状は以下です

  • かゆみ、痛み
  • 冠状溝や亀頭の赤み
  • 水ぶくれ、びらん

膣カンジダの薬は、抗真菌薬と呼ばれる真菌(カビの一種)に効果があるものを処方いたします。

膣カンジダの薬の剤型

女性
⇨ 膣錠やクリーム

※男性のカンジダは以下
⇨ クリーム(尿道感染では内服薬)

膣カンジダは外用薬による治療が基本となり、感染部位にピンポイントで抗真菌薬が作用します。
そのため全身に作用する内服薬のような副作用の心配がなく、妊娠中でも使われることがある比較的安全性の高い薬であるといえます。

なお、膣カンジダは常在菌のバランスが崩れることで再発するケースが多い傾向です。
再発時は市販薬でも対処が可能ですが、症状が似ている性病もあることから医療機関で検査・治療を受けることをおすすめします

膣トリコモナスの薬

膣トリコモナスの薬

主な治療薬
  • メトロニダゾール(フラジール)
  • トリニダゾール(ハイシジン)
  • など
膣トリコモナスの代表的な症状

女性

  • 膣、外陰部のかゆみ
  • 泡状のおりもの増加
  • 悪臭の強いおりものの増加

※男性のトリコモナスの症状は以下

  • ほとんどが無症状
  • 尿道のかゆみ、違和感

など

膣トリコモナスはデリケートゾーンのかゆみといった症状がカンジダやクラミジアに似ているため、症状を特定するため検査が必要です。
男性は内服薬が基本ですが、女性の場合は内服薬と腟錠の両方で治療します。
なお当院では膣トリコモナスの薬の処方は行っておりません。

淋病の薬

淋病の薬

主な治療薬
  • セフトリアキソン
  • スペクチノマイシン
淋病の代表的な症状

男性

  • 排尿痛
  • 尿道分泌液
  • かゆみ

女性

  • おりものの増加
  • 不正出血
  • 性交時の出血

など

淋病は現在、セフトリアキソンでの点滴治療が第一選択です。
淋病は薬に対し次々と耐性菌が現れているため、医師のもとで適切に治療を受けることが大切です。
なお当院では淋病の薬の処方は行っておりません。

梅毒の薬

梅毒の薬

主な治療薬
  • ベンジルペニシリンベンザチン
  • アモキシシリン
淋梅毒の代表的な症状
  • 第1期:性器や口唇、手指のしこり
  • 第2期:手のひらや足裏、顔などの発疹
  • 第3期以降:皮膚や筋肉などのゴム腫、手足の麻痺、失明

など

梅毒は、ペニシリン系の薬で治療します。
日本国内ではもともとペニシリン系の内服薬での治療が第一選択でしたが、2021年にベンジルペニシリンベンザチン筋注薬が承認され、内服・筋注のどちらかを選ぶ形となりました。
なお、当院では梅毒の薬の処方は行っておりません。

性病予防の薬

性病予防の薬

当院で処方する薬 ビブラマイシン錠 100mg
ビブラマイシン錠 100mg
有効成分 ドキシサイクリン
価格 5,500円 / 10錠
飲み方 梅毒・クラミジア・淋病への感染リスクのある性行為後、72時間以内に2錠まとめて服用
ドキシペップの
性感染症別予防率

梅毒:87%
クラミジア:88%
淋病:55%

梅毒・クラミジア・淋病への感染が疑われる性行為の72時間以内にドキシサイクリン200mgを服用する性病予防方法がドキシペップ(Doxy-PEP)です。

ただし淋病の場合、一定の効果がありますが、耐性菌(薬剤に耐性をもつ細菌)の発生リスクがあり注意が必要です。

性病治療薬は市販では入手できない

性病の薬はいずれも「医療用医薬品」となるため、市販薬として購入できません。
そのためクリニックの受診が必要となりますが、性病はデリケートゾーンのトラブルになるため、恥ずかしさや抵抗感から受診機会を先延ばしにしてしまいがちです

しかし、放置しても自然治癒することはなく、悪化すれば感染が臓器に広がったり、時には命に関わることもあります。
少しでも性器やその周辺の異常を感じるようであれば、放置せずに医師に相談してください。

性病治療薬の効果と副作用

性病治療薬は主に菌の増殖を抑えたり殺菌効果で性病を治療します。
ただし、もともと体内に存在する菌の増殖によって起こるケースや現代医療では完全に除去できないヘルペスウイルスなど、完治しにくい性病もあるため再発するケースも少なくないのが性病の特徴です。

性病治療薬の副作用については、当院で処方している性病治療薬の副作用の一例を紹介します。
副作用の詳細は当ページ下部の「関連記事」よりご覧ください。 性病治療薬の関連記事

性病治療薬の副作用
  • ジスロマック
    下痢、腹痛、腹部の不快感、カンジダ など
  • クラビット
    めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、発疹、不眠、腹部不快感、食欲不振、消化不良など
  • バルトレックス
    頭痛、肝機能検査値の上昇、腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、腎障害、めまいなど
    重大な副作用として汎血球減少、無顆粒球症、急性腎障害、呼吸抑制、無呼吸、間質性肺炎、肝炎、肝機能障害、黄疸、急性膵炎など
  • オキナゾール膣錠
    局所発赤、皮膚刺激感など
  • オキナゾールクリーム
    発赤、過敏症、発疹など

性病治療薬の処方について

性病治療薬の処方について
  • 検査によって病種を特定し、対応する治療薬の処方を受ける
  • 病種がわかっている場合は検査せずに対応する治療薬の処方を受けることができる
  • 処方される薬は主に内服薬や外用薬、注射がある
  • 梅毒や淋病の場合は注射や点滴を用いるケースもある
  • 性病は耐性菌が存在するものや再発もあるため、症状が落ち着いても処方された薬は飲み切る(使い切る)
  • ※フィットクリニックではクラミジア、マイコプラズマ、ウアレプラズマ、性器ヘルペス、カンジダ(女性・男性)の治療薬を処方

性病治療薬の処方を受けるためには、まず性病の特定をする必要があります。
一口に性病といっても病種はさまざまで、風邪に対する総合感冒薬のように、症状をまとめて緩和するような治療薬はありません。

病種がわからない場合はまず検査する

性病の検査は、一種のみの検査から症状の似た複数の性病の可能性まで、まとめて検査できるものもあります。
原因菌に合わない薬を使っても治癒しない上、性病は併発するケースもあることから、検査は必須と考えるべきです。
当院ではご自身で検体を採取できる検査キットを取り扱っているので、少しでも不安な場合はご検討ください。 性病検査キットの種類や使い方

性病の種類がわかっている場合は薬のみの処方も可能

以下の場合は、検査せずに薬の処方を受けることが可能です。

検査なしで薬の処方が
可能なケース
  • 以前同様の症状で治療を受けたことがある
  • パートナーの性病が判明し治療を決めた
  • 特定の性病の症状であると明らか

どの性病か明らかな場合は、薬の処方をすぐに受けられます。
症状が出ている中で検査結果を待つ必要がないため、治療を迅速に始めて症状を抑えることができます。
なお、症状によっては、医師の判断で検査をお勧めする場合があります。

性病治療薬を処方できない人とは

性病治療薬はさまざまあるため一概には言えませんが、処方できない場合のケースとしてその医薬品に対するアレルギーがある場合や、過去アレルギー症状が出た場合は処方できません。

上記の理由のほか、フィットクリニックで処方している性病治療薬別の処方できないケースは以下の通りです。

性病治療薬を処方できない人
  • ジスロマック
    肝臓や腎臓の疾患は医師の判断で処方できない場合がある
  • クラビット
    高齢の方は腱障害が現れやすい可能性、妊娠中の方・授乳中の方は胚・胎児死亡率の増加など(動物対象の試験)で処方できない場合がある
  • バルトレックス
    腎機能低下のケースでは処方できない場合がある

性病治療薬を飲み切ったら、必ず再検査する

性病の薬は医師に処方された分を必ず飲み切り、その後は一定の期間を置いて再検査(治癒確認検査)を行い治癒の有無を確認する必要があります。
再検査の期間については性病ごとに異なるため、以下の表を目安にしてください。

病名 お薬服用後の再検査の目安
クラミジア
ウレアプラズマ
3週間後
トリコモナス 1週間後
カンジダ 症状が治まったら

注意点としては、性病の薬を飲み切ったタイミングでは完治にはなりません。
再検査によって「陰性」の結果が得られるまでは、体内にわずかに残った菌が感染力を持っている場合、感染を拡げてしまうおそれもあります。

そのため再検査までが性病の治療となり、ピンポン感染を防ぐためにもパートナーとペアで検査・治療を受けるようにしてください。

まとめ:性病治療薬はクリニックで処方を受ける

性病治療薬は、性病によって処方する薬の種類が異なります。
似た症状を起こす性病も多いので、クリニックで医師の相談のもと検査の上、適切な治療薬の処方を受けることが重要です。

治療薬の処方についてはクリニックで検査〜処方〜再検査を行うことと、再発防止のため症状が落ち着いても処方されたお薬を飲み切る(使い切る)ことが重要です。

フィットクリニックでは性病治療薬のオンライン処方も行っております。
性器やその周辺に異常を感じるようであれば当院までお気軽にご相談ください。
※性病の種類がわかっている場合はお薬のみの処方も可能

性病治療薬についてよくある質問

  • Q
    薬を数日飲んだら症状が消えました。薬はまだ残ってますがもう飲まなくて良いですか?
    A
    症状が消えたとしても、体内には菌が残っている可能性があるため、処方された分は飲み切るようにしてください。
    自己判断で治療を中止してしまうと、薬の効かない耐性菌を発生させてしまったり、残った菌によって再発・再燃するおそれもあるのでご注意ください。
  • Q

    クラミジアの薬を飲んでおなかを壊しました。

    A
    クラミジアの薬として用いられるジスロマックは、副作用として胃腸症状(特に下痢)を起こしやすいです。
    薬がクラミジアの原因となる細菌だけでなく、腸内細菌にも作用してしまうために起こります。
    「ビオフェルミン」などの市販の整腸剤で対処可能ですので、併用して様子を見るようにしてください。
  • Q
    今出ている症状から、自分が感染している性病の種類がなんとなくわかるのですが、検査せず薬を飲んでも良いですか?
    A
    以下のような場合には、検査せず薬を服用しても問題ありません。
    • 以前同様の症状で治療を受けたことがある
    • パートナーの性病が判明し治療を決めた
    • 特定の性病の症状であると明らか
    ただし誤った服用は治癒しないばかりか、原因菌を放置することで「上行感染」といって身体の奥へと感染を広げて症状を悪化させるおそれもあるのでご注意ください。

その他よくある質問はこちらをご確認ください

参考サイト

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この記事の監修

フィットクリニック院長・服部圭太
服部 圭太
(はっとり けいた)医師

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務